「王子様はかぼちゃパンツで白タイツって誰が決めたの?」
嘆くような声で、ヒロトは俺に飛び付いてきた。唐突なのはいつもだが、いつも以上に内容が唐突だ。
「どうしたんですか…?」 「玲名ちゃんにね、白馬に乗った王子様が迎えに来てくれるんだよ、って言ったら、かぼちゃパンツに白タイツで迎えに来られても退くだけだ、って言われたの…」
しゅん、と俺の腕の中で小さくなる。何だろう、この可愛さ。そう思ったら、無意識に手がヒロトの頭を撫でていた。
「まぁ、代表的な王子はみんなその格好ですし…」 「恭馬は違うじゃん」 「だって、俺は騎士ですから」
言ってしまってから、突っ込むところが違ったと思った。慣れって恐い。
「だけどさぁ…」 「かぼちゃパンツ、不服ですか?」 「変じゃん」 「貴方が言いますか」 「何で」 「ジェネシスウェアも相当アレですよ」 「恭馬も言う?」 「まぁ、確かに」
ふふっと、楽しそうに笑ったヒロトをぎゅっと抱き締める。
「ま、貴方を迎えに行く騎士は全身黒ですから」 「馬も黒?」 「俺が白馬に乗ってても、何かかっこつかない気がしませんか?」 「あぁ…黒だね。…でも、恭馬なら何でもかっこいいよ」 「可愛いことを言ってくれますね」
ヒロトの首に顔を埋めて、俺は言った。ヒロトからふわりとした、いい香りがする。 「ヒロト、」 「ん?」 「白馬に乗った王子様は諦めて下さい」 「えー」
残念そうに言うヒロトに、そのかわり、と俺は続けた。
「黒馬に乗った騎士が迎えに行きますから」
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恭馬さんの私服は、 白いYシャツ・黒いベスト・黒いネクタイ・黒いパンツ だという妄想 中学生の私服じゃないね
これ、けっこう実話だったり…
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