ぽろろんと優しいピアノの音が聴こえた。その音が聴こえる方へ向かうと、部屋の中のグランドピアノを恭馬が弾いていた。俺の姿に気付いた恭馬は、俺をチラリと見てから弾き続ける。
「はい、すみません。なんですか？ヒロト」
一曲弾き終えてから、俺を見て恭馬は笑った。
「綺麗な音が聴こえたから」
「俺を探していたのではないのですか？」
素直に頷くと、恭馬は苦笑いを浮かべて寂しそうに肩を落とす。俺は恭馬の隣に座って、鍵盤を指でなぞってみた。
「ヒロトは弾けないのですか？」
「うーん…あんまり得意じゃないし、恭馬みたいに上手くないんだ」
昔からサッカーは得意だったけれど、音楽関連はからっきしだった。だった、とは言っても今でもそうなのだが…。俺が弾ける曲といったら、ねこふんじゃったくらいしかない。
「ねぇ、恭馬」
「はい？」
「もう一回弾いて？」
「もちろん、喜んで。それでは、ヒロトの…俺だけのお姫様の為に」
かっこよくウインクをして、恭馬はゆっくりと鍵盤に触れる。優しい音色で奏でられる曲は、俺を暖めてくれた。
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恭馬さんて絶対ピアノ上手いよねってだけ
ちなみに私は上手くないです
ねこふんじゃったなら弾けますよ(笑)