「恭馬、じゃんけんしよ」 「え?いいですけど」
突然のヒロトの申し出に、ちょっとびっくりしつつも承諾した。ヒロトの変な頼みは毎度のことだ。
「じゃあ、負けたら…うーん……」 「何しますか?」 「負けた方が…今晩は下ね」 「む…負けられないですね」
すさまじい罰ゲームを提示されて、何があっても負けられない状況になってしまった。
「俺、グー出すから」 「わかりました」
返事をして俺がぐっと身構えると、ヒロトは、いくよ、と言って大きく振りかぶった。
「さいしょはぐー、じゃんけんっ」 『ぽいっ』
ヒロトは宣言通り、グーをだした。俺は、ヒロトに言われたものに勝つように、パーを出した。
「フッ、当然です」 「うっそぉ…さっき、テレビで、宣言したのを出すと、相手は自滅するって、言ってたのに」
うぅっ、とヒロトは大袈裟に唸る。そんなたいそうなことではないと思うのだが。
「まぁ、俺をそんな手で負かそうなんて、無理ですよ」 「酷いよ」 「だって、俺はヒロトを信じていますから、ヒロトが言ったものに勝つものを出しますよ」
にっこりと微笑んで言うと、ヒロトはばっと赤面した。
「残念でしたね」
手首を掴んでぐいっと、引き寄せる。耳に息を吹きかけたら、ヒロトはびくりと身体をすくませた。 貴方が俺に嘘をつくなんて、千年早いです。
「それでは、罰ゲームです」 「仕方ないね」
ヒロトは苦笑いを浮かべた。
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何日か前のテレビで言ってたんです そのときに『相手を信じているかどうかだ』と言っていたので 結局、いつでも恭ヒロ脳な私
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