「あーっっ!」 「どうしましたっ!?」
ヒロトの声に俺は急いでキッチンへ向かった。
「あー、ごめん。何でもないから」
出てって、とヒロトにキッチンから追い出されてしまった。自分が何かしてしまったのだろうか。ちょっぴり自己嫌悪に陥って、廊下にしゃがみこんだ。
「……まっ、きょーまっ、起きて!恭馬!!」 「ふぇ…ヒロト?」
どうやら悶々しているうちに眠ってしまっていたらしかった。ヒロトにぶんぶん揺さぶられて、やっと目が覚めた。
「早く入って!!」
ヒロトに手を引かれて、さっき追い出されたキッチンに入る。そこには、イスが二脚置かれていた。
「座って、座って」 「あの…何、ですか?」 「はい、これ」
俺の質問には答えず、ヒロトはテーブルの上にある箱を俺に手渡した。
「今日、恭馬の誕生日だから」 「え、でも…俺、自分の誕生日すら知らなかったんですけど」 「うん。だから、今日は恭馬がおひさま園に来てから、ちょうど10年目の日だよ。ほら、早く開けて」
にっこりと笑うヒロトに促されて、手元の箱を開ける。中には可愛らしいベリータルトが入っていた。
「これを、俺にですか?」 「うん。Happy Birthday、恭馬」
俺は一旦ケーキをテーブルに戻して、ヒロトを抱き締めた。
「ありがとうございます、ヒロト」
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目指せほのぼの(玉砕) 本当の誕生日は 恭馬→冬生まれ ヒロト→春生まれ 希望です
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