「ヒロト」
「んー?」
俺を後ろから抱き締めている恭馬が、ふと俺を読んだ。どうしたの?と恭馬を見たら、ゆっくりと頭を撫でられる。
「貴方が、ずっと変わらないことが何かわかりますか?」
楽しそうに笑いながら聞いてくる恭馬の質問に、俺はクエスチョンマークを浮かべる。変わらない、こと…?
「髪の色…?」
「違います」
「え、目の色」
「何でそんなに色にこだわるんですか。まぁ、顔に関することですが」
顔…顔…顔…?
「あ!恭馬の目の細さっ?!」
絶対にそうだ!と思ったのに、恭馬には苦笑いをされて、ため息までつかれてしまった。
「…仕方ありませんね。答えは、貴方の笑顔ですよ。それだけは、ずっと昔から変わりません」
そう言って恭馬はぎゅーっと俺を抱き締めてくれた。恭馬が優しいのも、ずっと昔から変わらないと思うのだけれど。
「これからも、俺が貴方と、貴方の笑顔を守ってみせます」
「うん、ありがと」
俺は暖かい恭馬に身を任せて、でも、と呟いた。
「恭馬の細い目も変わらないよ」
「全く、ムードがありませんね…」
ため息と共にそんなことを言いつつも、恭馬は俺の頭を撫でてくれている。