「兄さん、次あれ乗ろう!」
目をキラキラと輝かせてヒロトが指差したのは、ほぼ90°に落下するジェットコースター。ヒロトがずっと来たがっていた遊園地に来たはいいものの、ヒロトが乗りたいというのは絶叫系ばかり。正直、僕はあまりそういうのは得意ではない。
「ヒロト、メリーゴーランドとか乗ろうよ」 「んー…兄さんがそういうのなら」
思ったより素直に従ってくれた。少々驚きつつ、俺はヒロトの右手を繋ぎとる。
「デートみたいだね」 「…兄さん」 「ん?」 「俺さ、ちゃんと遊園地に来たの、初めてなんだ」
手を繋いだまま、適当にブラブラ歩いていると、ヒロトが照れくさそうに呟いた。たぶん、父さんのせいで自由には動けなかったんだろう。それか、記憶にあるうちには行っていない…どちらかだ。いずれにせよ、父さんが計画したジェネシス計画の為に、ヒロトの楽しい思い出が少ないことにはかわりない。
「俺は兄さんに出会えてよかった。こうやって、遊園地にも来れたし…他にもたくさん、初めてのことを出来た。そのきっかけは、全部兄さんが作ってくれた。ありがとう、兄さん」 「ヒロト…」 「だから…」 「だから?」 「ジェットコースター乗ろうよ」
いたずらっ子のように笑ったヒロトに、思わず甘い空気が台無しだよ、とつっこんでやろうかと思ったけれど、俺の手をぐいぐい引いて走るヒロトにそんなこともできなかった。今のヒロトの言葉は、もしかしたら照れ隠しなのかも…と考えたら、何だかヒロトがすごく愛しくなってきた。
「兄さんも走って!俺、走るの疲れちゃったよ…」
そう言いながらも、息を少しも乱さずに走るヒロト俺は少し苦笑い。仕方ない、今日くらいは付き合うかな…。
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某夢の国に激しく行きたい 遊園地も行きたいかも
アンケより
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