「ゆーとくんっ」
弾んだような、からかうような声で呼ばれた俺は、いやいやながら振り返る。呼ばれた相手は世界で一番嫌いな奴――不動明王。振り返りたくないはずなのに、何故か無視は出来ない。
「何だ。用がないなら、呼ぶな」 「あれあれー?連れないねぇ」
たまにはこっち向いてくれないと、とか言いながらくすくす笑う不動が嫌で嫌で仕方ない。不動だって、俺のことが嫌いだろうに、何故必要以上に俺に絡んでくるのか。
「俺は早く練習を再開させたいんだ。用件があるなら早く…ッ?」
グイッと身体を引き寄せられたかと思ったら、触れるだけのキスをされる。しかも、唇に…。
「ふどっ……!!」
足が全く動かず、腰が抜けたようにその場に座りこんでしまった。何故、こんなことを俺にする?何故、俺はこんなにドキドキしている?グラウンドの芝生を見つめて、火照った顔を何とか冷やす。
「何固まってンの?練習なんだろ?早くやろーぜ」 「あぁ…」
もしかして、これが恋…… やっと動けるようになった体を起こしながら、あり得ないことを思い付いてしまう。信じたくない…そんな想いを振り切るようにして、前を見つめた。 前には楽しそうに走る不動の背中があった…。
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アニメの萌えに乗じて。
不鬼いいな、と。 不→←鬼(鬼道さん気付いてない) とか素敵だと思います。
犬猿の仲に萌え!
それでは、ありがとうございました。
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