「ぱっ」
隣に座っていたヒロトが突然言った。見るとま両手のひらをいっぱいに広げて、裸足の足の指も手と同じように、いっぱいに広げていた。
「…何してるんですか」
「いや、特に意味はないよ。…キラッ☆」
どこぞの緑色の髪の女の子の如く、右目の横に手を持ってきて、ポーズを決めた。ときどき、ヒロトは突然不思議な行動を始める。
「突然変なコトをし出さないで下さい。突然なら、そうですね…俺に抱き着いてくるとか、誘ってみるとか」
「そんなことしてたら、身が持たないよ」
なんてことを言いながらも、ヒロトは俺を誘うような仕草をする。
「身が持たないんじゃないんですか?」
「あれ?俺が誘ってるとでも思った?」
それはもちろん。人の太股に片手を置いて、下から上目遣いに見上げられたら、誰でもそう思うだろう。思いました、と素直に答えたら、ヒロトは俺から身体を離した。
「ま、また後でね」
小悪魔のように笑ったヒロトは、ごろんとよこになる。そして、また…
「ぱっ」
手と足の指を掛け声と一緒に、いっぱいに広げた。