「半田ー」

呼ばれて振り返ると、ピンクと水色の猫耳帽子が揺れていた。

「半田って、甘いもの好きだよね。手、出して」

甘いもの好きだからいいけど、俺が甘いもの好きな前提で話してるし。何をされるのかとビクビクしながら、手を出すとコロンとハート型のチョコレートが箱から落ちてきた。

「何コレ」
「チョコレート」
「そりゃ、見ればわかる。そうじゃなくて」
「いつもは四角いんだけど、このハート型のチョコが出るとラッキーなんだって。んで、半田にあげよう!って、思っただけ」

食べないの?と顔を覗き込んできたマックスの片方の猫耳を掴んでみた。

「僕が食べちゃうよ?半田も含め」
「むっ…ありがとうぅ」

ちょっと可笑しい言葉が聞こえた気がしたけど、気のせいということにして、ぱくんとチョコレートを食べた。よくそのチョコレートを食べるけど、いつもとは違う味がした。何だろう…何か、高級な感じ?

「おいしい」
「半田幸せそう」
「おかげさまでな。でも、俺こういうの、初めて見た。本当に入ってるんだな」
「え、そうなの?僕なんか、一つに二個とか入ってたりしたこともあるけど」

俺はどこまで中途半端なんだ。何だか泣けてきた。だけど、たった一つだけ、いいことがある。それは、この目の前に居る、猫耳帽子。それが、俺にとって大切な人になったこと。

「何にやけてんの」
「にやけてなんかない」
「僕が半田に幸せわけたんだからね」
「うん。ありがと」
「後で駄菓子屋でおごってよね」
「何だよ、それ目当てか」
「んー、どうだろーねー」

あはは、と笑ったマックスは、手を伸ばして俺の頭を撫でた。
中途半端じゃない、俺の幸せ。雲がゆっくりと流れていった。


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久々のマ半
私のピ○キーにハートのが入っていたので



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