「暑い…」

まだまだ欠かすことの出来ない扇風機の前に陣取って、ヒロトが唸る。9月に入ったにも関わらず、猛暑日がバリバリ続く。残暑、恐いですね…

「でも、だいぶ涼しくなったじゃないですか」
「朝は、一人で寝てると寒い」
「じゃあ、一緒に寝てあげますよ」
「寝られなさそうだから、遠慮しとく」

キレイにスルーしたヒロトは、扇風機の風にあたる。その風のおかげでヒロトの髪がふわふわと揺れていた。

「もう少し寒くなったら、ギュッてしてね」

ムードがない状態で言われて危うく流してしまうところだった。扇風機の風に揺られているヒロトの髪を撫でてから、ギュッと抱き締める。

「もう少し寒くなったら、って言ったじゃん」
「あまりにも貴方が扇風機しか見ないので、寒くなってきたんです」
「恭馬は寂しがりやだよね」
「貴方ほどでは」

ギュッと抱き締め返してくるヒロトは、俺の頭の横でふふっと笑った。窓から吹いた風は秋の香りがした。



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