「生まれ変わっても、俺は貴方の傍に居ますよ。絶対に」

突然、大真面目に言われて、ストレッチを一時的に止める。練習前にそんなことを言い出すのは止めて欲しい。一番近くに居て、コーマの台詞が聞こえていたであろうゲイルは”またか”みたいな表情を浮かべながら、俺たちから離れていった。

「何でそんないきなり?」
「いや、なんとなくですけど」

この会話は今まで何度となくしてきた気がする。それだけコーマが突然変なことを言い出す、ということだ。

「それで、今回は何が言いたいの?」
「グランは運命を信じますか?」

やっと再開したストレッチを、再び止めざるを得なくなる。運命って、赤い糸がどうのとかの、あれだよね?

「信じるよ?もちろん」
「じゃあ、この話は信じますか?今、愛し合っている者達は、前世でも前々世でも愛し合っているとか」

それはものすごくロマンチックな話だと思う。あぁ、そうか、あれか。

「一万年と二千年前から、あいしてるー」
「ふふっ、信じるんですか?」
「もちろんだよ。あ、背中押してー」

ぐーっとコーマに背中を押してもらっていると、遠くから声がかかった。

「お前たちはいつまでそこでいちゃついている気だ?」
「あ、うん。今行く」

ウルビダの呆れたような問いかけに、気の抜けたような返事を返す。自分でも、いちゃついてることは否定しないんだ、とか笑いそうになった。コーマに、ありがと、と言ってからフィールドに入ろうと立った瞬間に、コーマの顔がぐっと近づいた。

「…っん」
「お礼は今のでいいですよ。ご馳走様でした」

ニヤっと口角を吊り上げたコーマを見て、ばっと顔に熱が集まる。一瞬だし、いつもはもっと先までいってるはずなのに、何故かすっごく恥ずかしい。たぶん…たぶんじゃなくても、今顔が真っ赤だと思う。
こんな固まってたら、またウルビダに怒られる、とみんなの方を見ると、ネロとクイールはアークとキーブに目を隠されて、その他はなんだか微笑ましいような目で俺を見てくる。え、ちょっと…。

「どうしたの?練習…は?」

いつも通りだったのは、コーマと俺と、何も見ていないネロとクイールだけだった。

―生まれ変わっても、俺は貴方の傍に居ますよ

なんだかふとコーマの台詞が思い浮かんだ。

―俺だってそうじゃなきゃ許さない

やっといつもの調子が戻ってきたみんなに声をかけながら、俺は一人で小さく微笑んだ。



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