「俺達は、勝たなくちゃならない…」
ジェネシスの練習後、グランはポツリと呟いた。俺の腕はどうしようかと宙を彷徨う。
「父さんのために」
まぁ、そう続くだろうと予想はしていたけれど、やっぱりあんまり快くはない。宙を彷徨っていた俺の腕は、ぐっとグランを抱き寄せた。
「俺の為ならよかったのに」 「コーマは俺の側でしょ?一緒に戦うんだよ」
少しも悪びれずに、くすりと笑ったグランに俺は大きく溜め息をついた。本当に、何でグランは父さんのためなら何でもできるのだろう。
「コーマも一緒じゃない?」 「…もう、何で俺の考えていることが分かるんですか」 「それはお互い様だよ」
手をやんわりと握りこまれて微笑まれる。俺はグランの考えていることなら大体は分かる。でも、グランが俺の考えていることを分かるというのは珍しいことだった。…いつもは、言わないだけなのかもしれないが。
「まぁ、確かに貴方の為なら俺は何でもしますよ。貴方に言われれば、何でも…ね?」
グランの頭の後ろに手を回して、鼻先を互いの吐息が掠めるくらいの距離まで引き寄せる。
「ねぇ、シて?」 「貴方には適いませんね」
片目を閉じて誘ってきたグランに、苦笑いをしながら唇を重ねた。 えぇ、もちろん、貴方のためなら何でもしてみせましょう。
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