俺がまだ雷門に引き抜かれたばかりのころ。雷門中の周辺をうろうろしてたら、路地裏にたむろしてる、4人の低俗な奴等が見えた。無視して行こうと思ったのだが、男供が囲んでいたのは、俺より先に出ていたはずのコーマだった。

(あいつ、何してんだよ…)

頭で考えるよりも先に体が動いていた。

「すいせいシュートっっ!」
「星、士…?」

呆けたように、俺の名前を呼んだコーマは俺を見て安心したのか、膝から崩れてしまった。しかし、そんな暇はなく、俺はコーマの手を取り、無理矢理立たせて一目散に駆け出した。

「走れ、コーマ!」
「は、はい」

走って走って走って走って走って走って…………やっと、止まった。

「はぁっ、はぁっ…あ、りがとうござい、ました…」

ギュッとしっかり手を繋いだまま、後ろを振り返る。奴等が追ってくる気配はないようだ。途切れ途切れの息でお礼を言うコーマをよく見ると、ジャージの前が全開で、首が広めに開いた黒いTシャツの肩が肌蹴ている。襲われかけか、と意外と冷静に思った。確かに自分もよく言われたが、自分以上に何を考えているか分からない表情を崩したい、とは思う。綺麗だな、とも思う。…な、何を考えているんだ、俺は。

「あの…手…」

そう言われたが、手を離すことが出来ずに、その勢いでコーマの腕を引いて抱き寄せた。

「せっ…星士?」「震えてるぞ」

抱き締めたことで、コーマが震えてることがわかる。それを指摘すると、ギュッと抱き着いてきた。

「こわ、かったぁ、ぅ…」

ぐずっと鼻をすすって、コーマの中で何かが切れたのか、ボロボロと泣き出してしまう。俺は何も出来ずに、ただ抱き締めることしかできない。そんな自分の不甲斐なさにがっくりしながらも、もっとギュとコーマを抱き締めた。



握った手を離せずに
お題提供『秋天』様
******

何がしたかったんだろう。
コーマを弱くしたかった。
ただ、それだけですよ!
すいません。すいません。
お題に沿えてない(泣)

あの二人は似てる!

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -