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一方その頃、魔導院では。
夕刻のティータイム、世界的な食糧不足など知った事かと、戦争前から溜め込んでいたエミナのちょっとお高いクッキーとカヅサの美味しいビーカー紅茶の時間である。
それでいいのかお前らと言われかねない行動に自覚はあって、だからカヅサの研究室でこっそり嗜んでいるわけだが、残存武官ということもあり最近睡眠時間もなかなか確保できないほどハードなので少しは許されたい。記憶をなくしたクラサメのフォローもあるし、定期的に妹分の様子だって見に行きたいしで、休息と呼べる時間は貴重なのである。

少し冷めた紅茶を啜り、クッキーをゆっくりかじる。そうしてほっと息を吐き、エミナが「やれやれ」とこうべを垂れた。
たっぷりとしたこげ茶色の髪が肩から落ちる。

「……にしても、結果的に思った通りになっちゃって、笑えばいいんだか罵ればいいんだか泣かせればいいんだか……」

「なになに?クラサメくんをまた虐める話?っていうか黒幕エミナくんなの?」

「ここでそのネタバラシはない!さすがに!」

カヅサのとっさの切り返しにエミナは大爆笑した。こんな美女だが、実は沸点が思いっきり低い。カヅサの持ちネタ、過去の偉人のモノマネで爆笑してくれる唯一の人である。「カオスに続いてデスゲイズまでも……」「指をくわえて、第二幕を観劇するといい」「ヅラじゃない桂だ!」等、伝わらない人には一切伝わらないモノマネであるのだが、エミナは大爆笑なのである。なお、クラサメとナツメはきょとん顔で硬直する。友だち甲斐のない二人なのであった。

エミナはさんざん笑った後で、クッキーを飲み下して言う。

「……いやね。これはナツメにも昔言ったことあるよーなないよーな、むしろあるんだけどナツメには高等すぎて全くわかってなかったことなんだけど」

エミナはこてんと首を傾げ、テーブルの上に立てた腕の上に置いた。エミナが可愛らしい仕草をするときはそこそこひどいことを考えているとき。カヅサもよく知っている。

ナツメはもう少し、自ら退くことを覚えるべきなのよ。あの子は愛情の示し方をよくわかっていないから、とにかく思うようにしちゃうでしょ?相手の事情や都合も構わず。クラサメくんの中の優先順位は完全無視して。あの子が一歩、いいえ半歩でも退けば、クラサメ君のほうがその距離を詰めると思うのよね」

あれでクラサメという男はひどく頑迷で、ナツメに手を出したのを知った時は知己としてさんざ驚いたものだけれど、“これ”と思ったら他の全て構わず注いでしまう男なのだ。その執念といったら、適正完全無視で1組に成績を繰り上げるわ四課半壊させるわ。不言実行を常に粛々と体現している。

「だから、ナツメが少しでも退けば、空いたぶんクラサメくんが一歩踏み込むはずなのよ。そうなったら、あのクラサメくんがナツメを諦めるわけがないでしょう。ナツメがああやって“愛情が故です”って顔してるからクラサメくんもどうしていいかわからないんだろうけど。だから、ようやくその通りになったのになって」

そう思ったの。
記憶がなくっては、もう仕方がない。クラサメを追うことはできない。もしかしたらまともな恋愛関係にいまさらでも移行できるんじゃないかな、なんて器用なエミナは思うのだ。自分ならそうできるから。
でもそうはならなかった。ナツメは必死で距離を起き、クラサメとは片手で数えるほどしか遭遇していないらしい。
エミナは危惧する。

ナツメはもしかしたら、いざ離れてしまえばいつか記憶が戻ってもなんとかなると思ってるかもしれないけど。……クラサメ君が忘却するんでなく、ただ過去として自分を忘れて、幸せになってくれると思ってるかもしれないけど。でもクラサメ君が何もできない隙にそこまでしちゃったらって思うと、ワタシはすっごく怖いけどね」

「地の果てまで追っかけられそう?」

「そこでナツメが何を手に入れてても、無いとは思うけど新しい家族がいたり、友人、恋人がいたりしても、全部叩き壊して連れ戻しそう。まあ正統な権利だとも思うけどね」

「どうでもいいけどクラサメくんに追っかけられるの想像したらちょっとテンション上がるよね」

「まあカヅサに追いかけられるよりは身の危険は感じないわね」

「何で一回僕を罵倒すんの?ねえ?」

魔導院、全てを見てきた大人たちの、穏やかな午後のことだった。





閑話休題。

ナツメは戦闘が得意ではなかったが、それは後家も同じだ。
とはいえ今後家が持つアドバンテージは、まずは体質。毒を持っている女と近接格闘するわけにはいかない。けれどあのウォール魔法らしきものをどうにかして無効化しないと遠距離攻撃も話にならない。
銃を構えてサイトを合わせながら、ナツメはじりじりと後家を睨む。跳弾の恐れがある以上、闇雲に撃つのも危険だ。

「なんであんた、魔法が使えるの」

「魔法?ああ、これは魔法じゃないわぁ。そもそもクリスタルとは異なる魔法体系があるわけぇ。そうじゃなきゃクリスタルに反逆、なんて簡単にはできないわぁ」

「0組と同じ理屈か……」

全て終わった後から聞いた話だが、0組はクリスタルから魔力供給を受けていなかったらしいのだ。それでジャマーにも対抗できたのだと言っていた。後家の魔法がどういう形式で以て実現しているかナツメにはわかりようもないが、魔法と思って対峙すると失敗する気がする。

「それにしてもぉ、まさかナツメあんたそれ産むつもりなのぉ?育てるなんてできるとでも!?」

「そんなこと何であんたに答えなきゃならないのよ!!」

よくわからない、拳ほどの大きさの酸の砲弾が飛んでくる。後家が手を振ると、黄色く濁った液体が浮き上がり、丸く纏まってからナツメめがけて襲いかかってくるのだ。こんな魔法見たこと無いしやっぱり魔法じゃない。被弾はしないが、避けた弾の行方をちらと見ると岩壁に見事に穴が穿たれている。そこから液体がどろりと垂れ落ち、酸が岩の組成を壊したことはすぐにわかった。人体が受けたら一溜まりもないなと思う。
ナツメはそれを避け、銃を向けては弾をばらまく。一撃でも当たれば隙もできるのだが、避けながら照準を合わせることは難しい。運良く当たった数発は、瞬時に張られたウォール魔法に防がれた。

「だいたいッ、何で私に目をつけたのよ……!」

「アタシ思うんだけどぉ、女であることは常に奪われる側に立つってことだと思うのよねえ」

後家は岩に深く腰掛けたまま腕を組み、うんうん頷いた。その間も砲弾は繰り返し、ナツメの影を抉る。

「アタシは奪われることも怖くないわぁ。アタシが差し出すのは毒だしぃ。アタシを組み伏せて、パンをこねるみたいに散々に潰した男が、知らず知らず死んでいくのを見るのが好きだから。そういう博愛精神なんだけどぉ、これはなかなか異端みたいなのよねぇ。四課でも、女は揃いも揃って悩んでる。そういう男を憎むべきか、受け入れるべきか。言い換えれば、自分がどこまで尊重されるのが正しくて、どこからが間違っているのか」

今更なことを世間話の声音で話す後家に呆れながら、ナツメは回避し続ける。後家の青い目が、やけに穏やかにナツメを見ていた。

「そういう意味で、あんたに親近感があったのは否定しないわぁ。あんた、特殊だものねぇ。そういうの考えないでしょお?クラサメ・スサヤって男にされることは許し、他の男にされることは許さない。とても単純に割り切って、自分で判断するのをやめてる……。アタシにもあんたは特殊だったわぁ。だからずっと、見てたけど」

ナツメの銃弾を弾き、後家はまた手を動かす。その手に酸の弾は浮いていない。ナツメは違和感を覚える。

「アタシと同じよね。戦争が終わって、クリスタルもなくなって、従うものがなくなって、逆らうものもなくなって、怖いわぁ……アタシは、教義が成立して数百年、初めて成就の時を見ている。アタシは逃げられない。数百年分の遊女の、娼婦の、奪われるしか生きる方法のなかった女たちの恨みが肩に載ってる。何も残っていなくても、アタシ一人になったって、逃げられない」

後家の、両の手が動く。ナツメは嫌な予感を覚えている。
あの手と酸の弾は関係ない。手を使って射出しているように、見せていただけか。ならなぜ手を動かす必要がある。

足を取られた。転ぶ、そう思ったのに身体は何かに受け止められる。受け止められているのに、重心が狂ったらいともたやすく投げ出されそうだった。一箇所に体重を掛けたら転げ落ちる。網だろうか。

白い糸が武官服の黒にへばりついて、浮き上がって見える。ほんの僅かに粘りつくような、伸縮性のある糸が、規則性のない網になってナツメの身体を支えている。
網。じゃない。
これは巣だ。

何故気が付かなかったのかと、目を見開いて思った。壁に並んだ松明の灯りは、光度が低く、所詮壁の周囲しか照らさない。天井も床もほとんど見えないのだ。その見えない闇の中を、白い糸がきらきらと走る。
足は動くし、逃れられる。だが動かした先でまた絡め取られる。巨大な蜘蛛の巣の中に、ナツメは閉じ込められていた。

「何……これ……!!」

足を無理に動かすと、糸はナツメの足にくっついたまま引きちぎられ、その先でまた絡まって、どんどん足を重くする。少しずつ少しずつ動けなくなる。

「なぜアタシが後家なんて呼ばれるのか、本当に知らなかったわけぇ?“後家蜘蛛”は交尾したオスを食らう、猛毒の蜘蛛。それがただ、アタシの毒性を示すだけのものだと思っているわけぇ?アタシの暗殺の方法を揶揄しただけのものだと?」

銃が絡められ、手から落ちる。蜘蛛の巣の間をくぐり抜けた。手を伸ばしても、もう届かない。

「アタシたちの神体もまた、後家蜘蛛で。この魔法、アタシたちの呪いは、命と引き換えに願いを叶える秘法だから。何百年もかけて、娼婦が命を捧げてきた後家蜘蛛は、血と思想に力をくれる」

蜘蛛の腹は妊婦に似ているわよね。
後家がそうつぶやいた気がした。


ナツメはとうとう蜘蛛の巣の中に倒れ込み、糸が絡まり動けなくなる。後家が蜘蛛の巣の上を滑るように歩いて近づいてくる。
カウントダウンを感じている。その一歩一歩が、ナツメの命の期限を切り、最期の瞬間を連れてくる気がしている。

後家の顔が間近に迫り、ナツメの顔の両脇に手をついた。
ナツメはろくに動かせない手で、腹を庇った。

後家の唇が、目の前で弧を描く。

「何守ろうとしてんのよ!?んなことしたってあの男の記憶は戻らないわよぉ!!早く諦めなさいよぉ、もう充分頑張ったって諦めなさいよぉ!どうせあんたそんなの欲しくないんでしょ、さんざん思ったんでしょ自分なんかが子供を産んでいいのかってさあ!?でもそんなの、まだ嘘だってアタシはわかってるわあ!?家族なんて欲しくなかった子供なんて欲しくなかった、そうでしょう!?結局まともな男と家族になるなんてめんどくさかったんでしょおお!!」

嘲笑う声が、頭痛になって奥で響く。後家の青い目が見開かれ、ナツメに迫る。
腹を庇う手が、震えていた。

「だってぜんぶ捨てなきゃいけないもの、これまでの人生すべて否定しきって今までの比じゃないくらい苦しみ抜かなきゃならないものねえ!?それでようやっと麻薬みたいなこの中毒から抜けたって、結局アタシたちはまともになったわけじゃないものねぇ!?過去がなくなるわけじゃない、ふとした瞬間そういうの全部戻ってきて、襲い掛かってきて、その繰り返しだって!一生それを続けて怯えて生きていくんだって、それがわかってるから、あんたはそれが欲しくないのよぉ!!」

その通りだ。
その通りだとも。

ナツメは目を閉じた。

例えば、可能かどうかを度外視して、ナツメの犯したすべての罪をやっとの思いで贖ったとして。
それでも、ナツメは普通の女になったわけじゃない。

なりたかった姿にはなれない。そんなの、焦がれてみればみるほど、近づこうとすればするほど思い知るとわかっている。4組にいるだけで、場違いだと感じた己だ。クラサメの隣にずっと立つなんて、どうしてできるんだろう?

「……そうね」

その通りよ。反吐が出るわ。あんたの言うとおりだわ。
あんたの思うがまま。

それは、その通りだけれど。

その通りだけど。でも。

でも……。

「その通りでも、それでもッ……なんであんたがそれを決めんのよ!!」

ナツメの中で生まれたものを、どうするかなんて、エステルには何の関係もない。

クリスタル亡き後の世界がどうなろうが、朱雀だった国がどうなろうが、この子をどうするかはナツメが決める。
この子をどうするかは。この子を守って生きていく道を、選ぶ覚悟をいつ決めるかなんて、全部ナツメが決めなくては。
クラサメが隣にいても、いなくても、ナツメはきちんと二本の足でまっすぐ立たなくてはならないのだ。

母になるのならば。
逃げられないのは、ナツメも同じだ。


そのときだ。
ナツメは胸元、鎖骨の辺りに熱を感じた。そのままその熱は光になって、後家の顔を下から照らす。

魔法だ。ナツメは赤い糸のきらめきを見た。
開戦の日、ジャマーによって一度奪われた魔法が手の中に戻ってきたのと同じだ。その熱を発したのは、ナギが首飾りにした輝石だった。

「これっ、どうして、クリスタルはもう……ッ!!」

後家が怯えた顔を見せた。気がした。
ナツメは好機を逃さない。

炎を懸命にイメージする。暖炉に残った燃えさしの燻り、湿気ったマッチ、ぶつかった石の放つ火花。それが最後には、ナツメがずっと操ってきた朱く滾る業火になる。

「蜘蛛の巣って燃えるのかなぁ。やってみれば、わかるわよね」

ナツメは笑って、後家を見た。炎が煌々と燃え上がり、四散して蜘蛛の巣を溶かし始める。後家が慌てて起き上がり、舌打ちしながら蜘蛛の巣を手繰った。ところどころ弱くなった巣は、それだけでさんざんに千切れていく。

さあ仕切り直しだ。この女をどうにか無力化して、ナギの前に引っ立ててくれる。
距離をおいた後家が、酸の砲弾を手にしてナツメを睨む。そうして二度目の対峙をした、それとほとんど同時、後家の目が見開かれる。ナツメは気がついた。
後家の腹に、何かが生えている。だらしなく着崩された武官服の中央、柔らかな素肌を貫いて、赤が、透けた先の青が。

眼前には見覚えのある剣の切っ先だけがある。ナツメはそれしか考えられない。後家が、力を失って膝を折る。背後の彼は、ぞんざいな仕草で後家の背に靴裏を押し当て、剣を引き抜いた。

「ご、ひゅっ」

蹴り倒されるように崩折れて、後家は大量の血を吐いた。ナツメは呆然と見つめるばかりだ。背後の彼は、松明の頼りない灯りの中で、「無事か」と聞いた。
うっすら朱い光に照らされ、彼は果たしてそこに立っていた。

「く……クラサメ……」

「無事かと聞いている」

クラサメの問う声を無視して、ナツメは慌てて後家の傍らに膝をついた。まず止血を、いっそ焼くべきか、それから輸血を。思い立って慌てて輝石を握るが、もううんともすんとも言わない。魔法は使えない。
強く腕を掴まれ、ふと見れば後家が血の濁った青い目でナツメを見ている。どこにそんな力が残っているのか、まるで加減のない力だ。
後家はヒューヒュー荒い息で呻き、何かを告げようと口を動かしていた。

「そ……れ、」

「後家、動かないで、松明で焼けばいい、助かるかもしれない……」

「きせき……使って……」

「魔法は使えないのよ!だから、松明を取ってくるから、」

後家は離さなかった。真っ白な顔はまさに死相といった表情で、もう焦点があっていない。ナツメの隣で、死んでいく。

「エステル」

ナツメが名を呼ぶと、ようやく手が離れた。後家はふっと微笑み、目を閉じた。
エステルは死んだ。

「おい。……お前、そいつに殺されかけていたのではないのか」

「……そうよ」

「それをどうして、助けようとした?」

僅かに困惑の滲んだ声でクラサメが問うた。ナツメは振り返ることもできずに、後家の死に顔を見つめていた。

「私が仲間を死なせまいとするのは、そんなにおかしいことなの?」

「……私は、お前がどういう人間か、知らないから」

「ああ、そうだった。忘れてた」

ナツメは乾いた笑い声を立て、ゆっくり彼を振り返った。逆光の薄明かり、クラサメは表情のない目でナツメを見ていた。ナツメは冷えていく後家を一度だけ見遣り、立ち上がる。

「どうしてここが?」

「お前の部屋にこれが落ちていた」

クラサメが懐から取り出した白い紙は見覚えがあった。後家が寄越したのだろう、この洞窟への呼出状である。

「部屋って……ああ、鍵かけるの忘れてた」

「不用心だ」

「私に何する奴もいないもの」

それに魔導院でわざわざ寝入りを殺されるときはどうせ鍵など無意味とナツメは思ったが、クラサメはぎゅっと眉を顰めたのでもしかしたら違う意味だったかもしれない。とはいえ、そういう意味でもじっさい鍵は無意味なのだが。そのあたり、四課と一般人の意見は違うだろうか。

「助けに来たつもりだが、不要だったか?」

「……いいえ。そんなことはない。助かった。殺されるかもしれなかった、それは間違いないし」

この人との子供が奪われていたかもしれなかった。そう思えば、クラサメに助けてもらったのはごく自然なことだったかもしれない。
でも、エステルが死んだことに、どうして己はこんなにショックを受けているのだろう。自分と同じだったからか。自分と同じく、逃げられない人間だったからか。

ともかく、ナツメはエステルを忘れてはならない。そんな気がした。


洞窟の外に出ると、夜になっていた。微かな吐き気が喉の奥をくすぐって引き攣る。身体をくの字に折って耐えた。波が収まるのを待ち、顔を上げる。

「体調が悪いのか」

「ええ……ちょっとだけ」

「歩いて戻れるか?」

頷きを返し、ナツメは歩き始めた。やや遅れて、クラサメの靴音も続く。森の分たれたところを選んで進み、月明かりしかない平野を歩いた。二人の間には夜風と沈黙だけが落ちていたが、会話が無いのに慣れているのでナツメはむしろ安堵を覚えた。こうしていると、自分たちは何も変わっていないみたい。実際は取り返しがつかないくらい、何もかも変容してしまっているのに。

冷たい風に身震いしていると、クラサメがコートを着せようとしてきたが全力で固辞した。クラサメのにおいと体温が宿ったものなど受け取ったら、身も世もなく泣き出してしまいそうだと思った。



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