枯れた花の落ちる先





ベッドに投げ出された足が白い。陽の光を、ここしばらく浴びていない。
部屋から出ていない。窓は小さく一つきりで、朝だって差し込む光は決して多くない。それが夜なら、なおさらだ。

時計を見る。そろそろ来てもいい頃だ。着替えようか、先にシャワーでも浴びようか。
私がそうして待っていると、どうしてかみんなして機嫌がよくなる。待っているというのが気分いいらしい。意味わからん。

「ただし、奴の名誉のために言うがリグディだけは別だ」

大して変わらないしそもそもほとんど来ない。まぁそんなことはどうでもいいのだけれど。

今日も今日とて、本を読んだり筋トレしたりとまったく無為な時間だった。それしか許されないのだ。ここから私は出られないから。

「……つまらんな」

ベッドに倒れ込み天井を眺める。何もできない。何も。

この日々は変わらない。これから百年だって続くんだろう。そう思えば、最近街を賑わせるあの連中の気持ちもわかろうというものよ。私はため息を宙へ放つ。
できることはなく、ただこの埋没は続いていく。何かが混ぜ込まれ、世界そのものが変わらない限り。

「ん?」

ふいに、暗い外で何かが光った。私はベッドに立ち外を見る。と同時に身体の芯に響くみたいな低い音がした。それは雷だった。
そして雷光はもう一度だけ空を裂いた。今度はほとんどタイムラグなしに音は響く。

「……ああ、なんていうかね、」

神様が教えてくれなくても、吉兆だと私には分かった。目の裏に光が届かなくても。

「待ってたよ……」

名前は呼ばなかった。光はまだ、届かなかった。






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