※お下品純愛
あはっ
あはっあははははははぎゃはははははははは飛んでるあたしは今飛んでいるぶっ飛んでいる!!あはははは!!
吐き気でのたうち回りながら、あたしは髪を振り乱して嗤う。何度かバスルームの壁をぶっ叩いたが知ったことかここあたしの部屋じゃねえし!レンガ痛ぇんだよブチ抜いてやろうかサンダガマスターとはあーたーしのこっとだぁぁぁあああああああははぎゃっははははは!!ロックだろロックだろ頭が!?いしあたま!!
っていうか何でサンダガ!何でサンダガ!?残り物感半端ないよねあたしってば残り物!残り物には福があるあるありまくりんぐーッ!!
真偽の程?知るかバーカ。
「うるさい、もういっそしね」
部屋の主が外から声を掛けてくるけど知ったことか!これも知ったことか!んなこた知らんわ!あたし知らないもん多いな笑えるまじ笑えるぐわーはっは!
とかなんとか騒いでいれば、彼が来てくれることを知っているあたしはやっぱり頭をぶつけ続ける。あ、血出てきた。まじ痛い。どれくらい痛いかっていうとあれだな朱雀の闇級。ブラックホール。すーぱぁまっしぶぶらっくほぉる。スーパーマッシブ、スーパーマッシブ!?
それでも涙が出るくらい、あたしは綺麗には狂えない。
「あ、やっと来た……早く連行してあのジャンキー」
「元4組さんに質問だが、頭痛薬でも中毒って呼ぶわけ?」
「中毒性はギサールの野菜にもあるのよ?それが薬ならドストライクでジャンキーでしょ」
「お前が言うと危険度跳ね上がるなぁ……副作用がこれなら、俺もうあの薬には頼らねーわ……」
うげらーやかましいぞ外野ぁ。お前はクラサメ隊長とやらとでもよろしくやってろ!いいからさっさとあたしの王子様を出せ!出せ出せ出せカモンカモーン!
「ほら、呼ばれてるわよ詐欺王子。さっさと城に連れ帰って牢にでも突っ込んで薬取り上げて。ついでに私の部屋に来れないように教育か調教を早く。鞭も焼き鏝も四課にあるでしょう」
「いやー俺ってストーカーと寝る趣味はさすがにねーのよね……拷問も趣味じゃあねえのよね……おら、来てやったぞ、ここ開けろ」
「うう……なぎーなぎくーんなぎーいいい」
あ、やべ今日これ飲みすぎたかも。二箱はちょっと多かったか。立てない。具体的には、足がどこにあるかつかめない感じ。姫は王子に迷惑はかけないものなので、頑張って立ち上がりたいけどフラッフラして無理だ。
やだ、ガラスの靴を置いて走り去るのと酔っ払って階段で眠りこけるのはちょっと話が違くってよ。ん?でもそれなら王子探すの楽になって一石二鳥じゃね?あっあたし天才!やばい!惚れる!濡れる!でもナギきゅんが勃たないなら意味ない!ゴミめ!ゴミはしね!みょんみょんみょおおおおん!!
「おい血が……ちょっまじで結構出血してる!?おい、なんか拭くもの……いやむしろお前が来い傷塞いでやってくれ!」
「あーさっき壁とファイトしてたから……人の部屋を血まみれにしてくれちゃってもー」
「何でお前身内にはそんな人でなし発言かますの……ほら早く」
ふわー、っと。
緑の光が目の前を回って、さらに気持ちよくなってくる。あー、体がどこにあるかわからないのは変わんないけど、これならこのままブッ倒れてもいいやあ。気持ちいいし。
なんてらいばるのねむらせるこうげきにはまけないんだから!あたしまけないんだから!だめだーうおーと立ち上がる。無理やり立ち上がる。って、それで誰もが立ち上がって己の意見を言える世の中なら自殺する人はいないし人殺しもいないしあたしみてーなクズもいない!わかったかクズ野郎!
結論から言うと、いや現実を見ると、あたしは立ち上がると同時にぐるりと回り、胃の中を盛大にシェイクしながら再度壁にぶち当たった、大当たり!一等温泉旅行ペア一組二泊五日!
温泉行きたいわー。
「あーもうだめだこいつ、おぶってくわ……」
「がんばれー。一晩寝ればある程度抜けるはずだから、とにかく水を大量に飲ませて。吐くようなら吐かせて、口とか洗ってね。ポンプ的なイメージで」
「ああ、その諸注意も最初の二回くらいまではちゃんと聞けたんだけどな、もうめんどくさいわ床にでも転がしとく。でもポンプは違うだろ……」
そう言い放ちながらもあたしを背におぶった王子さまが毎回ちゃんとあたしを送り届けてくれていることはもう知っているからそんなつれない態度は必要ないのよドゥフフ!
ナギきゅうんの広い背中はいつだって気分がいい。あたしにだけ触れてくれるこの感触!冷凍保存して部屋の冷凍庫に縦に詰めたい。毎回思うこと。そしたら毎晩あたしはそれを枕の下に敷いて寝るのよ!
あたしには特別辛辣で特別優しいナギの首にしがみつく。おえっとか聞こえたけど知らないない。あーんもう大好き!言い値で買おう!
「お前さあ、好き好きほざいてるくせに買おうとか言うんじゃないよ。あと男女間であることを自覚しろ」
「知ってます知ってます自覚してますっだってほら凹凸じゃないとできないじゃん、子作り」
「死ね。割と早めに死ね」
「ナギくんのお腹の上でならいつでもオッケーさバッチコーイ」
「お前はどうしたら俺を嫌ってくれるんですかー。ナギくん19歳からの質問」
「チミチミ、それは軍令部長がまともな作戦を考案するのはいつですかっていう元12組の誰かの質問とぶっちゃけ同レベルだよ?」
「お前と同レベルとか……やだ死にたい」
「心中したい!?よしきたこれで勝つる!」
「お前動けないくせに元気だな、そこのゴミ箱に捨てて帰っていいか?」
「やだナギくんとえっちなことするまであたし捨てられたくない」
「ほんといつ死んでくれるんですか」
まっすぐ向かうのはまずあたしのお部屋である。同室者がまだ起きていれば事情を説明してオールクリアーだと毎回毎回考えているようだけれど、冷静に考えてみてほしい。もしあなたが夜中ラリった友人を押し付けられる可能性を想定したらどうするか!
そう!あたしが11時過ぎて帰ってなかったらあいつは即寝るよ!そうしろと伝えてあるしね!あたしに死角はない基本的にはほとんどないと言っていい。これぞ頭脳の勝利!天才!濡れる!抱いて!
脳がますます霞み、うわーまじ眠くなってきた。眠く、っていうかちょっと違うんだよな。瞼を開けているのがとにかく辛いっていうの?薬でラリってるときの特徴である。あーうーあーうーあー。
ナギくんがあたしの腕の下で部屋のドアを連打ノックするが、返答はない。もし起きちゃっても無視しろと伝えてあるのだフヒヒ!結局ナギくんの部屋に向かうことになり、あたしの作戦勝ちはまいどまいどのことである。
「お前また痩せたろ。骨の感触が」
「……うーえー?そこは当ててんのよって言ってあげたいところだけど、どうだろう……」
「骨当ててどうする……眠いんなら寝とけ。体力消耗するだけだぞ」
「ナギくんともっと体力消耗するよーなことがしたぁい」
「黙れしね」
ナギくんの部屋はすぐそこである。
さすが四課の人間は個室なので、なんとも羨ましいことだ。さっきの他称らいばるの女も、あんなに軍令部長等々と仲悪いくせに個室。にくたらしい。男連れ込み放題ってか。クラサメ隊長にりーくしてやる。
「いや、それはお前まじで……多方面から殺されるからやめとけ。あとあいつの一途っぷりはお前に通ずるものがあるから安心しろ」
「んー……そこが嫌ぁい」
だってナギくん、だからあのひとのこと好きなふりするんでしょ。仲いいふりするんでしょ。
「好きうんぬんはともかく、仲いいってのは別にふりじゃねえけど……まあいいわ、ほら、ベッドやるから吐くんじゃねえぞ。布団も食うな」
「うひひひナギくんのニオイーニオイー……うへへ」
大好きなあなたの匂いに包まれて眠る夜の素晴らしきかなああ、あああ!
この瞬間を手に入れるために、あたしは錠剤を噛み砕くのよ。
市販の頭痛薬も用法用量を大きく外れるととても有害です。実際に飛んでしまうこともあるので、気をつけましょう。このサイトは薬物乱用を推奨しているわけではありません。ぜったいにやめましょう。
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