「放して!」
「今は帰そう。いずれこのDIOの元に来るだろうからな。その前に」
そう言うとDIOは私をソファーに押し倒し両手を片手で拘束する。
「私のものだという印をつけてやろう」
恐怖で喉がひきつり声がでない。DIOは私の様子など、どこ吹く風で上衣を捲り腹を露出させた。じっとりと冷や汗が背中を流れる。
なすすべなく顔を背けていると、DIOの爪がだんだん肌に食い込む。
「……」
「怖いのか?身体が震えているぞ」
DIOが爪を突き立てたまま、指を走らせる。殺されないことだけを願っているとようやく指が離れた。
「また会えるのを楽しみにしているぞ」
そう言って目の前から姿を消した。
***
今でも、DIOから受けた傷が脇腹に残っており、彼の名前がはっきりと読み取れる。
あれから1ヶ月後、幼なじみの承太郎たちと再びエジプトに赴くことになった。あの男はこうなることを予想していたのだろうか。
「危険な旅になるがいいのか?」
幼なじみはこう訊ねたが私には迷いはなかった。1度屈したあの男を克服してホリィさんを助けたい。私は脇腹にそっと触れた。