「なぁ、俺と付き合ってくれ」
「誰にでもそんなこと言ってるじゃない」
「違うんだ、俺はお前のことが…」
「一時的なものだと思うよ」
ホル・ホースは追ってこなかった。ようやく諦めただろうか。
あの日からホル・ホースの姿を見ない。やはり一時的なものだったんだろう。今頃はきっと女の子に声をかけているはずだ。
休日を満喫し家で寛いでいると、チャイムが鳴った。
「はい…っ、」
「名前」
鍵を外しドアを薄く開けるとホル・ホースが押し入ってきて私の身体を抱きしめる。予想していなかったホル・ホースの行動に頭も身体もついていかず呆然と立ち尽くす。
「名前、好きだ」
「ホル・ホース……はなれて」
「俺は名前が好きだ。…ずっと一緒にいたいんだ」
だんだん抱きしめる力が強くなってくる。怖い。
「ホル・ホース、どうしたの?あなたらしくない」
「ずっと名前に会えなかったからだ……名前がいないと…」
目が合った時のホル・ホースの瞳はどこか虚ろだった。逃げなきゃ、そう思いホル・ホースの胸を突き放す。
「名前…」
「来ないで……」
どうしてこんなことになってしまったんだろう。何がいけなかったのか、考えてもわからない。
「声、震えてるな。そんな顔して俺のことが怖いのか……そうやって怯えているところも可愛いぜ」
足が動かずその場にぺたりと尻をついた。ホル・ホースが私の手をとり持っていた手錠を私につける。
「とって……」
「暴れるなよ、擦れて肌に傷がつく」
「そんな……」
「俺は名前のことを傷つけたいんじゃあない。ずっとそばにいてほしいんだ…愛してる」
そういってホル・ホースは私の拘束された手をとり、キスを落とした。