甘やかされる(シュトロハイム)

※男装夢主





「シュトロハイム少佐は?」
「まだ帰っておりません」
「じゃあ執務室で待たせて貰うよ」
「はい」

執務室の部屋のソファーに腰かける。呼び出しておいて外出とは。徹夜明けの状態で急いで来たというのに。

***

誰かが私の髪を撫でている。目を開けると金髪の髪が見えた。後頭部は少佐の膝に乗っている。

「少佐?!申し訳ございません!」
「そのままでいい」
「うっ、」

起こそうとした身体が頭を押さえられ、少佐の膝へ逆戻りした。

「こんなところ見られたらどうするんですか……」
「鍵をかけてある」
「鍵って、ここは私室じゃあ……」

私は私室に移動していた。

「寝ている間に運んだんですか」
「よく眠っていたからな。一応起こしたのだが起きなかった」
「そうですか……もう起きます。ありがとうございました」
「コーヒーでも飲むか?」
「あ、頂きます」
「今持ってこさせる」

少佐は側仕えの女を呼んだ。しばらくしてコーヒーとバウムクーヘンが運ばれてきた。クーヘンなんて久しぶりだ。

「少佐は食べないのですか?」
「あぁ、甘いものは好かん」
「そうでしたか、ではいただきます」

口に含むと優しい甘味が口のなかに広がる。美味しい。

「美味しいです。ありがとうございます」
「フ、子供みたいだな」
「子供で結構です」

久しぶりの甘味に味を噛みしめた。

「ご馳走さまでした。……ところで私を呼び出した目的は何ですか?」
「さあな、」
「さあなって……!」







少し考え名前の顔が赤く染まり、恥ずかしそうに笑った。

「ありがとうございます、嬉しいです」

彼女が近づいてきて肩に手を乗せ、バウムクーヘンを甘い匂いが鼻を掠めたかと思うと微かにバウムクーヘンの味がした。

「で、では失礼します!」

名前は走って私室から出ていった。口の端が自然と釣りあがるのを感じた。

bkm