吸血鬼(露伴)

僕は次の読み切り漫画に吸血鬼を登場させることを思いついた。そうとなったらいろいろ試してみようと思い、ヘヴンズ・ドアーで「吸血鬼になる」と書き込んだ。

鏡の前で変化を確認すると、それほど変化は見られない。あえて言うならば、八重歯が前より鋭くなったぐらいだ。他にも色々試してみたが嗅覚や聴覚が敏感になっていることがわかった。まだやり残していることといえば……吸血だ。

ちょうどいいタイミングで彼女の名前が帰ってきた。折角だから露伴は試すことにした。

「こっちへ来てソファーに座ってくれないか」
「はい」

言われるがままに名前はソファーに腰掛けた。僕はさりげなく隣に腰掛け、名前の首を眺める。すると白くて細い首筋に目が離せなくなり、吸い寄せられるように名前を抱きしめ、首に顔を埋めた。そして今まで吸血をしたことがないのに身体が勝手に動き、名前の首筋に牙を突き立てた。

「ろは、ん、っう、あ」

名前の口から甘い声が零れる。どうやら吸血鬼に吸血されると気持ちいいというのは真実らしい。そんなことを考えながら露伴は名前の血を味わった。名前の血は甘くて癖になりそうな味だった。人間が食べているものも普通に旨いと思えたが、血は比べものにならないほど極上に思えた。満たされたところで牙を抜くと彼女は少し呻いた。

吸いすぎてしまっただろうか。ぐったりした名前の頭を僕の腿に乗せる。

「ろ、はん」
「貧血だろ、少し休むといい」

名前の頭を撫でるとしばらくして寝息が聞こえた。
名前の目覚めると僕は散々怒られた。

bkm