牢(カーズ)

「カーズさん、どうして」
「名前がついてくるならば、この友人は生かしてやる」

カーズさんは腕から刃物を出し友人の喉元にあてる

「どうした?早くしないと友人の頭と胴体が離れるぞ?」
「っ、友人に手を出さないでください。カーズさんに従いますから」
「そうか」

そこからの記憶は途切れている。目を開けると暗闇の中にいた。早く逃げなきゃ。私は壁を伝い歩きはじめる。しばらくすると前の壁にぶつかった。

「名前」

私がぶつかったのはカーズさんだった。私の心臓が早鐘のように鳴る。カーズさんは黙って私の手首をとり、部屋に連れていき外側から鍵をかけた。部屋には布団しかない。私はいつまでここにいることになるんだろうか。

***

窓がなく何日経ったのかわからない。水以外のものを口にしていないため空腹で身体が動かなくなり四肢は床に投げ出された状態で床に転がっていた。苦しい。このまま私は死ぬのだろうか。
閉ざされていたドアが開かれた。目だけで視線を追うとカーズさんだった。

「名前、楽になりたいだろう?二度とこんなことはしないと誓え。そうすればここから出す」
「……」

助かりたい。その一心でカーズさんの足を掴んだ。カーズさんは私を抱え部屋から出る。薄れゆく意識の中でカーズさんの口元が吊り上がる様子が見えた。


bkm