私はいつものように学校からの帰り道を歩いていた。家に着くひとつ手前の曲がり角を曲がったところで、突然爆発音が道路に響き渡った。そこには男が立っていた。
男はネクタイの趣味が少し変わっている以外は、普通のサラリーマンに見えた。しかし、男の手に握られた手を見て異常性に気づいた。
きっと偽物だろう、本物の手の訳がない、そう思い込むことで自分を落ち着かせながら男の横を通りすぎようとした時だった。
「目撃者は生かしておけないよ」
その声に反射的に振り向こうとする。しかしそれはかなわなかった。男が後ろから私の肩を押さえていたのだ。
「残念だが君を殺さなくてはならない。……よく見ると美しい手をしているね」
そう言いながら男は私の手に自身の手を重ねた。やわやわと手の甲をなぞるように男の手が行き来する。その感覚に内側から粟立つような感じがした。
「ただ殺すには惜しいから君の手は貰って行くことにしよう……これじゃあ浮気になってしまうかな……フフ」
男は嬉しそうな声で言った。
「キラークイーン!」
そこで私は何もわからなくなった。
「……い、おい!」
誰かに肩を叩かれ目が覚めた。
「……仗助」
「もうホームルーム終わったぞ」
「……うん」
「今日俺補習だから先に帰ってていいからな」
「わかった」
短い言葉を交わし教室を後にした。昨日遅くまでゲームをしていたせいでいつの間にか眠っていたらしい。早く家に帰って寝よう、そう思い足早に家へ向かった。
そういえばさっき夢を見ていたことを思いだしたが何の夢だったか思い出せない。まぁ、夢を思い出せないなんてことはよくあることだ、そう思いながら家に着くひとつ手前の曲がり角を曲がったところで爆発音がした。
そこで彼女はさっき見た夢を思い出した。