「何、この子たち……わっ!」
家に帰ったら3匹の猫が私に飛びかかってきた。驚いて尻餅をつくと膝の上にふてぶてしい顔をした猫2匹が乗る。
「なんかDIOさんとカーズさんに似てるな……」
構え、というようにぐりぐりと頭を押し付けてくる。もう1匹は私の側に寄り、腕に絡み付く。この毛が長めの猫はディアボロさんみたいだ。
疲れている私への癒しかと思いながらすり寄ってくる猫を撫でる。
「うわあ〜癒やされる」
もふもふだ。
「かわいいなあ、ほんとに」
「ただいま……その猫はどうしたんだ?あいつらにそっくりだな」
「家に帰ったらこの子たちが居たんです」
吉良さんが持っていたレジ袋にカーズさん似の猫が飛び付き、中身を漁っている。しばらくしてお菓子の箱をくわえて袋から顔を出した。
「猫にしては賢いな……本当に彼らなんじゃあないか?」
「そうかもしれませんね……。でも猫にチョコレートはまずいですね」
「ああ、私が買ってくる」
「今帰ってきたばかりで疲れてません?」
「いや、名前が帰ってくるまで猫を構うほうが疲れそうだ……」
「ああ……」
それ以上何も言えなくなった。吉良さんが来るまでテレビを見ながら猫の相手をしようかと思い電源を入れると猫が黙ってテレビをじっと見ている。その光景があまりに異様だったが、大人しくしてくれているのが幸いだ。この番組はカーズさんが好きだったやつだ。やっぱりこの子たちはDIOさんとカーズさんとディアボロさんなんじゃないかと思えてきた。
「ただいま……買ってきたよ」
居間の戸を開けて吉良さんの動きが止まった。やはり3匹の猫が黙ってテレビを見ていることに違和感を覚えたのだと思う。
猫缶を開けると即座に匂いに反応して駆けつけてきた。食べ方が綺麗だな、と思っているとカーズさん似の猫が缶ごと吸収したのは見なかったことにした。
***
「そろそろ寝ようか」
「はい」
いつもより広く感じる和室に布団を敷くと猫が周りに集まってきた。私が布団に潜ると猫が布団の上に乗って丸くなる。そこで眠るのか。猫が気になっていたが、だんだん眠くなっていつの間にか寝てしまった。
「……うう、」
あまりの寝苦しさに目を覚ますとカーズさんとディアボロさんの腕が身体に乗っかっていた。腕を退けて周りを見渡したが猫はいない。
「名前、おはよう。きょろきょろしてどうしたんだい?」
「おはようございます。……何だか変な夢を見ていたようです」