初詣・前編(カーズ・吉良)

「名前、準備はできたかい?」
「はい!」

寒くないようにコートとマフラーを着込み、吉良さんの後に続く。

「じゃあ行ってきますね……うっ」

吉良さんの後に続くと後ろからフードを掴まれた。振り向くとカーズさんが珍しくコートを着込んでいる。

「私も行く」

元旦の人通りが少なく静かな道を3人で歩きだす。冷たい空気を吸い、ぼんやりとした頭がだんだんすっきりしてきた。昨日は、というより今日だけど、ゲームをしていたら白熱してしまって夜が明けてしまった。一人勝ちするディアボロさんに悔しがるDIOさんとカーズさんと私で何度も勝負を挑んだ結果、最終的にディアボロさんがDIOさんに血を吸われるという形で幕を下ろした。

「名前、眠そうだな」
「ちょっと眠いです」

吉良さんは早めに布団に入ったしカーズさんは平気そうだ。他愛のない話をしながら神社に着くとすでに人で賑わっていた。

「?」

両手を吉良さんとカーズさんに握られる。

「人が多いからね」
「ああ……」

2人とも身長が高いから捕まった宇宙人みたいな気分だ。ちらちらと2人の顔を見ては頬を染める女性たちを気にしないようにしつつお参りを済ませた。

「吉良さんは何をお願いしたんですか?」
「静かに暮らせますように、とね」
「吉良さんらしいですね」
「それと、名前が積極的に手を触らせてくれますように、ってね」
「……カ、カーズさんは?」
「名前が私の」
「あ、やっぱりいいです」
「ム、」

新年早々煩悩垂れ流しだ。

bkm