甘やかす

「掃除したいのでテーブルを退かすの手伝ってくれませんか?」
「なぜだ」
「そんなことをしなくともこのDIOは困らん」
「DIOさんが困らなくとも私が困るんです。少しだけ手伝ってください」

カーズさんもDIOさんも腰が上がらない。

「まぁこんな重いもの持てませんよね……」

ぼそりと言うとぴくりと反応する二人。

「それくらい造作もない」
「貧弱な名前のために運んでやろうではないか」

そう言うと二人は軽々とテーブルを持ち上げた。

***

掃除が終わりテレビを見ながら寛いでいると、近くにいたDIOさんが寝転んで私の膝に頭をのせた。

「いきなりどうしたんですか?」
「名前の人使いが荒いせいで疲れた」

さっきは元気だったじゃないですか、と言おうとしたがDIOさんが小さく欠伸をしているのを見てやめた。なんだかんだ言いながらも手伝ってくれたことに感謝して、そっと頭を撫でると驚いたように私を見た。

「あ、嫌でしたか?」
「……構わん、続けろ」

再び金色の髪に触れていると肩にずしりと重みがかかる。

「名前、どういうことだ」
「どうって言われましても……膝枕です」
「私にもするのだ」

そういうとカーズさんがDIOさんの頭を膝から退かした。ゴン、という痛そうな音がして畳に頭をぶつけるとDIOさんが不機嫌そうにカーズさんを睨み付けた。

「っ、カーズ、何のつもりだ」
「もうお前は充分名前の膝を味わっただろう。次は私の番だ」
「喧嘩しないでくださいよ。ほら、ここに横になってください」
「ここで決着をつけるぞ」
「望むところだ、吸血鬼」
「喧嘩したら頭を撫でたりしませんからね」

そう言うとDIOさんとカーズさんは黙って横になる。目が合うのが嫌らしく、お互いに背中を向け合った。2人の頭を撫でると大人しくなって気持ちよさそうに目を瞑る。まるで大きい子供みたいで思わず頬が緩んだ。

bkm