First contact

私と承太郎の関係は母親同士が仲が良く、友達というほど仲が言い訳ではないが顔を会わせたら会話をする、くらいの間柄だった。

ある日、承太郎が早退したらしく先生に宿題やらPTAの集まりやらのプリントを持っていくように言われた。チャイムを鳴らしたが誰も出てこない。そっと引き戸に手をかけるとあっさりと開いてしまった。

小さい頃私と母が遊びに行った時のように縁側のある方へと歩いていく。近付くにつれ、話し声が聞こえてきた。やっぱり家に居るんだ。縁側に付くとホリィさんと大柄な男の人たちが布団に寝ている人を取り囲んでいた。

誰かが病気なのかもしれない、声をかけにくいし出直そうか。電話くらい入れておけばよかった、と思っていると立ち上がったホリィさんが私に気付いた。

「あら、名前ちゃんじゃない」

その声に一斉に男の人たちが振り返る。みんな日本人離れしている顔だ。

「あの、担任の先生にプリントを頼まれたんです」
「まあ、わざわざありがとう」
「では失礼します」
「せっかく来たんだから上がっていらっしゃい」
「でも、来客中じゃあ」
「名前ちゃんだってお客さんじゃない」

ホリィさんに押しきられて家へと足を踏み入れた。ほとんど初対面の顔ぶれの中に混ざってしまった。取り敢えず承太郎の隣に腰を下ろす。きまずい。ちらりと初対面の年上の方を見るとにこりと微笑んだ。なんだか悪戯っ子みたいな笑顔につられて私も微笑んだ。

「ワシはジョセフ・ジョースターでホリィの父だ」

てことは承太郎のおじいちゃんにあたる人なんだ。ちょっと似ている、かも。

「えと、苗字名前です。ホリィさんと承太郎にはいつもお世話になっています。こちらの方は……?」
「私はモハメド・アヴドゥル。ジョースターさんの友人だ」
「よろしくお願いします」

この人は穏やかな感じがする。あいさつを済ませたところでホリィさんがお茶を淹れて戻ってきた。

「お茶持ってきたわよ」

気まずさが和らぐ明るい声に私はホッとした。そっと人が眠っている方をちらりと見ると私と同い年くらいの人が頭を押さえて起きた。

「君は……?」
「私は苗字名前です。承太郎と同じ高校に通ってて先生に頼まれてプリントを」
「そうだったのか。僕は花京院典明、最近転校して来たんだ。よろしく」
「こちらこそよろしくお願いします」
「名前ちゃん、今日家に泊まっていかない?久しぶりにお話したいわ!」
「私もです。それでは母に連絡しますね」

bkm