ソファーで寝ているヴァニラを見つけた。ちょうどこの時私が手にしていたのは黒いペン。ちょっと悪戯心が湧いてきて私はペンのキャップを開けた。
ヴァニラが起きないことを祈りながら瞼には目を、頬にはうずまきを、額には肉を描いていく。そんなことをしてもぐっすり眠っているのを見て笑いが込み上げてきた。
「ふふっ、ヴァニラ……」
ソファーのわきで笑っていると、ようやくヴァニラが目を覚ました。
「名前、何をしている 」
真剣な顔で訊ねるヴァニラに我慢できず吹き出す。
「ちょっと、っはは、」
「顔に何かついているのか?」
そう言うとトイレに向かうヴァニラ。今のうちに逃げよう。走って逃げていると後ろからヴァニラが追いかけてきた。うわあ、足速すぎ。
もう捕まりそうなくらい距離が縮んだ時、前方にDIO様を見つけた。
「DIO様、助けてください!」
ヴァニラを見て状況を察したDIO様はスタンドを使い、一瞬のうちに私たちは棺桶の中にいた。ひたり、ひたりと聞こえる足音に息を殺して身を潜めた。
「……行ったようだな」
「ありがとうございます。助かりました」
棺桶の蓋が大きな音を立てて転がり、息苦しさから開放される。
「はー助かった……」
「それはいいが何をしたのだ?」
「それは……」
再びヴァニラのあの顔が頭に思い浮かび、笑いが止まらなくなる。笑い過ぎてお腹まで痛くなってきた。
「名前」
「どうしたんですかDIOさ、ま……」
私の目の前にヴァニラが立っている。
「名前が失礼しました」
そう言うとヴァニラは私を俵担ぎにして連れていく。
「離してよ〜」
「うるさい、さっきは逃げただろう」
その後私はたくさんの洗濯物を畳む羽目になった。