「彼女から離れてください」
「ジョルノか、来るとは思わなかったぞ」
「ナランチャがちょうどこちらの店にいたようで。名前を返してください」
「今日はな。今度はこちらから迎えに行く」
「必要ありませんよ」
名前は驚いたように僕とDIOを見比べている。
「では失礼します」
「え、でも……」
「いいんですよ。気にしないでください」
名前の手を引き、部屋を後にした。
「びっくりした〜なんか似てると思ったらジョルノのお父さんだったんだね」
「ええ」
父、と言われても正直あまり実感がわかないが確かに血の繋がりはあるので頷いた。名前と店の前につくと振り返ってにこりと微笑んだ。
「わざわざ送ってくれてありがとう」
「これくらい大したことではありませんよ。それじゃあ僕は仕事がありますから」
「いつでも遊びに来てね」
従業員用の玄関に足を踏み入れると美味しそうな匂いが漂ってきた。
「ポルナレフー何作ったの?」
「フィナンシェだ」
「いいなー今度賄いで作ってよ」
「賄いがお菓子でいいのかよ」
「いいの」
バターの香りをいっぱいに吸い込んで幸せな気持ちに浸っているとポルナレフは「どうだった?」と訊ねた。
「美味しかったよ。うちとメニューも同じくらいで」
「そうか」
「それから、うちに来てたお客さんもいた」
そう言うとやっぱりか、と苦い顔をするポルナレフ。
「まあそうなるよな」
「だよね……そろそろ新しいメニュー考えないとね」
「おう、じゃあ定休日までにお互い考えようぜ」
「うん!」