※微裏?
家に帰って来て襖を開けようとして手を止めた。聞こえてくる声の様子がいつもと違う。
「っあ、DIOさま」
色っぽい女の声がDIOの名前を紡ぐ。DIOのやつ、女を連れ込んだのか。まったく、ここはDIO1人の部屋ではないんだと言ってやりたい。こっちは働いて帰ってきたところなのにいい身分だ。
「名前」
思いもよらない名前が聞こえた。DIOと一緒に部屋にいて色っぽい声で名前を呼んでいたのは名前だったのだ。わかった途端に心臓がうるさく音をたて始める。
「吉良、いるのだろう」
DIOが私の名を呼んだ。
「わかっているならこんなことをするのは止めてくれないか。ここはお前だけの部屋じゃない」
「入れ」
話を聞いちゃいない。襖を開けるとDIOの膝の上に乗って口付ける名前の姿があった。DIOは私の顔を見るとにやりと口角を上げた。
しかし、予想に反したことがあった。名前もDIOも服を着ていた。乱れてすらいない。
「どうした、何を想像していた?」
「そんなことはどうでもいい……名前に何をした?」
「肉の芽を埋め込んだだけだ。吉良、お前もどうだ?」
さっきまでDIOに抱きついていた名前の顎を掴み、私の方に顔を向けさせる。名前と目が合う。名前の表情は蕩けきっていた。嬉しそうな顔でこちらを見ている。いつもの表情とは違う、いやらしくて欲情をそそられる顔をしている。
「……早く元に戻せ」
「つまらんな」
DIOはため息をつくと肉の芽を取り払った。名前の身体から力が抜けてDIOの胸に倒れ込む。
私はトイレに入り大きく息を吐く。さっきの名前の表情がしばらく離れそうにない。