「DIOさん、あまりくっつかないでください」
私はDIOさんとお風呂に入っている。「一緒に入るぞ」という言葉と同時に俵担ぎされて強制的にお風呂に連れていかれた。
お湯に浸かりDIOさんの胸に背中が当たらないように距離を取っているため必然的に私のスペースが小さくなる。
「狭い……」
「ならば寄りかかればいいだろう」
そう言うとDIOさんが私のお腹に腕を巻きつけて抱き寄せた。私の背中とDIOさんの胸の間に隙間がなくなる。タオル越しといえど、普段よりも隔てる布の枚数が少なくて緊張してきた。
「緊張しているのか?」
「……いえ」
愉しそうな声にDIOさんが口端を上げているのが想像できる。心臓を落ち着けようとゆっくり呼吸しているとDIOさんが私の肩に顎を乗せた。
「顔が赤いな」
「……気のせいですから離れてください」
出来るだけ意識しないように答えるとDIOさんの腕から解放された。珍しく言うことを聞いてくれた、なんて思っていると身体が反転してDIOさんと向かい合う形になる。
「なっ、」
「やはり赤いではないか」
目の前にはDIOさんの整った顔と筋肉質な上半身。離れようと膝立ちで後ずさると、腰に腕がまわって抱き締められた。
「脈が早いな……」
「っ誰のせいだと……んん」
後頭部を熱い手で掴まれ、頭を固定されると目の前にDIOさんの顔が広がった。唇が離されると、どくどくと心臓の音がうるさい。
「名前」
「……もう何も言わないでください」
黙ってDIOさんの肩口に顔を埋めるとDIOさんの口からフ、と笑い声が漏れた。