騙される(DIO)

私はDIOの手下に捕まり、一足先にDIOの館へ着いていた。敵が目前だというのに手足は椅子に縛られて動くことは叶わない。

「ジョースター達は言っておったぞ、名前は足手まといだと」
「そんな言葉を信じるとでも?」
「ほう、このDIOの言葉を疑うか。ではこれを見よ」

するとDIOは水晶玉にジョースターさんと同じスタンドで念写をし始めた。しばらくするとジョースター一行の様子が映し出された。

「名前がいなくなってせいせいしたぜ。あいつがいると足手まといになるからな」
「同感です」

ポルナレフと花京院の会話だ。ジョースターさんや承太郎が話している姿も見聞きしたが頭に入ってこない。最初に聞いた2人の会話がずっと頭で鳴り響いている。みんなそう思っていたのか。仲間だと思っていたのは私だけだったんだ。







名前の姿を見て俺は堕ちたと思った。彼女はたった一人で敵の懐にいる。それだけで彼女の精神力は弱っているはずだった。実際、水晶玉で念写したジョースター達の姿を見せて、築き上げてきたものが脆く崩れ落ちたのをこの目で見た。こんなものはただのまやかしに過ぎないにもかかわらず、だ。

「今まで信じていた奴らの本性がわかったな。酷いと思わないか?心の底ではこんな風に思っていたんだ。私が君の復讐を手伝おう。どうせ奴らはここに来るんだ、それまで私と一緒に暮らそうではないか」

名前は何も答えなかった。それでいい、もうジョースター達の元に戻りたいということもないだろう。

「君の迷いは私が取り除いてあげよう」

私は名前の額に肉の芽を埋め込んだ。





bkm