想い(仗助)

「あ〜疲れた〜」

先に宿題を終わらせた名前は伸びをするとカーペットに横になる。

「寝るのか?」
「ん〜少しだけ……」

少しだけと言ってその通りになった試しはない。

「宿題終わったら起こして……」
「いつ終わるかわからないぞ」
「明日?」
「そりゃあねェよ……」

ふふ、と笑って名前は目を閉じた。俺は宿題を早く終わらせようと机に向かった。

***

ようやく宿題が終わった。名前に目をやるとぐっすり眠っている。

「名前」

名前を呼んだが起きない。いつものことだから気にしてはいないが。カーペットじゃあ身体が痛くなるだろう、そう思って身体を抱きかかえてベッドに寝かせる。

眠っていて無防備な名前の頬をそっとつつく。相変わらず柔らかい。

『じょーすけのほっぺはやわらかいね』

そう言うと名前が俺の頬をふにふにと優しく指でつついたことがあった。それは何年も前のことで、今の俺の頬は昔のような柔らかさはない。

いつからこんなにも差がついたのか。同じくらいだった身長はいつの間にか名前のつむじが見えるくらい伸びた。一方名前の身体は小さくてあちこち丸みを帯びている。俺の身体とは随分違う。肩は丸いし腰も細い。身体の輪郭が曲線を描いている。

もう小さい頃のように純粋に手を繋いだり、一緒にお昼寝、なんてことはできない。俺が名前に抱いている感情は昔には戻れないのだ。

bkm