雨(カーズ)

スーパーで買い物を終えて店を出ると雨が降っていた。天気予報を見てくればよかったと思いながら様々な色の傘が遠ざかって行くのを眺める。この様子だとしばらく止みそうにない。私は意を決して雨の中に飛び込んだ。運の悪いことにだんだん雨足が強まり、家に帰る頃には下着まで濡れていた。

身体に服がへばりつく感覚が気持ち悪くて早々に服を着替える。6畳間の戸を開けるとカーズさんが横になってテレビを見ていた。

「髪が濡れているな」

私を見てそう言うなりカーズさんは腕を引っ張った。私はカーズさんの身体の上に乗る体勢になる。

「雨に降られまして」
「身体も冷たい」

そう言うとばさりと羽を広げて私を包む。どうやら暖めてくれるらしい。冷えきった身体にカーズさんの体温が心地いい。
好意に甘えてじんわりと伝わってくるカーズさんの体温を感じていた。この際カーズさんがふんどしだけだということは目を瞑っておこう。

「ありがとうございます」
「冷蔵庫に入っている肉まんを食べていいぞ、暖まる」
「それもともと私のじゃないですか……」
「……」


bkm