お腹が痛い。いわゆる女の子の日というやつだ。
「名前、顔色が悪いな」
「ちょっと、お腹が痛くて……」
そう言うと吉影さんは察したようだった。
「気付かなくてすまない」
そう言うと吉影さんは居間を出ていった。少しして膝掛けを持って戻ってきた。
「とりあえずこれを使ういい」
「ありがとうございます」
「寝ていた方がいいなら今布団を敷いて来るが寝るかい?」
「ここに居たいです」
そう言うと吉影さんは私を脚の間に座らせた。私の脚には膝掛けが掛かっていて後ろから吉影さんの手がお腹に回される。
「凭れても構わないよ」
吉影さんが私の肩を引き寄せる。背中から暖かさが伝わってくた。
「暖かいです。……寝てしまいそう」
「眠ってもいいよ」
吉影さんの声色が優しくて心地いい。
「吉影さんは退屈じゃないですか?」
「気にしなくていい。……このままだと僕も眠ってしまいそうだ」
「……やっぱり一緒に寝ませんか?」
「積極的だね」
「そういうつもりじゃないですッ!」
「フフ、わかってるよ、じゃあ行こうか」
吉影さんは私を抱えて寝室に向かった。ちょうど布団を干していたらしく、日光の当たった暖かい布団の上に寝転がった。
「気持ちいい……」
吉影さんは畳の上に横になる。
「布団に入りませんか?」
「……じゃあ、お邪魔するよ」
吉影さんが私の隣に横になって身体を抱き締める。
「おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
昼間から眠るなんて贅沢な気分だ。そう思いながら睡魔に身を委ねた。