「承太郎!トリックオアトリート!」
「お菓子はねぇぞ」
「じゃあ悪戯だね」
私はジャンプして承太郎の帽子を取った。承太郎に見せつけるようにかぶって見せた。私の頭のサイズより大きくて前が見えなくなる。
「返せ」
「やれやれだぜ」
帽子を持ち上げて承太郎に言うと呆れ顔で溜め息をついた。
「ほら、もういいだろ」
「あっ」
承太郎は私から帽子を取る。そうこうしているうちにいつもの分かれ道に着いてしまった。
「じゃあ明日ね……!」
家に向かおうとすると承太郎が私の手を掴む。
「どうしたの?」
「おふくろがお前のためにお菓子作って待ってる」
そう言うとぐいぐいと私の手を引いて家に向かった。