「露伴先生、トリックオアトリート!」
「……僕はお菓子は持ってないぞ」
「じゃあ悪戯します!」
「へ〜君のやる悪戯に興味がある。ほら、やってみろよ」
なんかそう言われるとやりづらい。多少なりとも嫌がるから面白いのに。
「悪戯、するんだろ?」
露伴先生がだんだんと迫ってくる。
「近いです」
「悪戯しやすいだろ」
後退しているうちに背中が壁にぶつかる。
「悪戯しないのか?」
にやりと意地悪な笑みを浮かべる先生。この余裕な態度を崩してやりたい。私は露伴先生のヘアバンドを目の辺りまで下げた。
「フン、それは悪戯のうちに入らな……っ!」
私が頬にキスすると見えなくても察したようで、先生の顔がみるみる赤くなった。効果は抜群だったらしい。
「悪戯、これでいいですか?」
「っ、帰れ!」
「えー」
「早く!」
急き立てるように家を追い出された。玄関を出たところで露伴先生が私を呼び止めると何かを投げた。
「これは?」
尋ねようと振り返ると既に玄関が閉まっている。先生が私に投げたのはラッピングされた袋だった。中にはかぼちゃやお化けの形のしたお菓子が入っていて思わず笑みが零れた。