賭(露伴)

「名前、ちょっとしたゲームをしないか」
「いいけど、何するの?」
「ここに2つのサイコロがある。2つのサイコロを投げて足した目の数が大きい方が勝ちだ」
「それだけ?つまんないから降りる」
「なっ、まだ言い終わってないぞ。勝った方が負けたほうに命令できる」
「んー、それは面白そうかも」

ということは私が勝ったら露伴に夕飯を作らせることが出来る。別に夕飯を作りたくない訳ではないが、明日提出の宿題があったのを忘れていたのだ。勝てば早く宿題に取りかかれる。

「じゃあいいよ。じゃあ私からね」
「あぁ、」

私がサイコロを振る。6と5だった。これはもう勝ったんじゃないか。

「次は露伴ね」
「随分嬉しそうだな。まだ僕は振ってないぞ」
「まあね。でも勝ったようなものじゃない」
「勝負は最後までわからないぞ」

露伴がサイコロを振る。嘘だ。6と6だった。

「だから言っただろう、それじゃあ何を頼もうかな……ああそうだ、僕に告白してみろ」

私は耳を疑った。告白?

「はぁ?」
「聞こえなかったのか?僕は君に告白しろと言ったんだ」
「告白って……」
「君は高校生にもなって告白の意味もしらないのか」
「わかるわよ!なんで告白なの?!」
「別になんだっていいだろ、君は僕の恋人なんだし告白したって別に不思議じゃない。負けたんだから早くしろよ」

楽しそうな顔しやがって、ちくしょう。

「好きです」
「心がこもってないな、そんなんじゃ僕がいいと言うまで何回でも言わせるからな。」

また言わなきゃいけないのか、これでもかなり恥ずかしいのに。何回も言わされたら私の身が持たない。私は腹を括った。

「露伴が好き。私が買い物に行きたいって言ったら、なんだかんだ言って連れてってくれるところとか、帰りが遅くなったら迎えに来てくれるところとか、私が落ち込んでいるときに察して私の好きなココアを出してくれるところとか……ってなんで部屋を出ていこうとしてるの?!こっちが真剣に告白してるのに!」

露伴の耳が心なしか赤い、気がする。

「照れてる?」
「うるさいっ!これから夕飯の買い出しに行くだけだ!君は宿題があるんだろう、今日は僕が作るから夕飯が出来るまでやっていればいいだろ」

やっぱり露伴はやさしい。私は嬉しくなって露伴に後ろから抱きついた。



bkm