お風呂(露伴)

「あー気持ちいい……」

露伴先生の家のお風呂って広くていいな。足を思いっきり伸ばしてお湯に浸かっていた。

「入るぞ」

そう言ったかと思うと間髪入れずに風呂場のドアが開けられ遠慮なく入ってきた。

「ちょっと!私入っていいって言ってませんよ!」
「ここは僕の家だ。いつ入ろうと僕の自由だろ」
「……」

それはそうかもしれませんけど。

「それに僕と名前は付き合ってるんだ。何の問題もないだろ」

露伴先生は身体を洗い始めた。その間先生が身体を洗っているのを眺める。先生って細身に見えるけど意外と筋肉ついてるよなあ。肌が白くて羨ましい。

先生は身体を洗い終わり、浴槽に入ろうとする。一緒にお風呂入ると思うと少し気恥ずかしい。

「先生が入るとお風呂が狭くなるのでダメです」
「そんなに浴槽狭くないだろ」

そう言って頭を小突かれた。だって恥ずかしいじゃないか。唯一の救いは入浴剤が入っていることだ。

「今日は柑橘類か?」
「はい。グレープフルーツですよ」
「ふーん。ところで名前は随分長風呂じゃあないか?」
「露伴先生が上がったら私も出ます」
「逆上せるぞ」
「大丈夫ですよ」
「僕はそろそろ上がる、名前も早く上がればいい」

そう言うと露伴先生は風呂場を後にした。

***

僕が上がってまもなく、風呂場で大きな物音がした。脱衣場に入ると、名前が床に座り込んでいる。立っていられないほどなんだろう。

「名前、逆上せたのか?」

尋ねると、力なく頭を縦に動かした。僕は名前にバスタオルを巻きつけ抱え上げた。

「せん、せ……ごめん、なさい」
「気にしてない」

名前をベッドに寝かせ、氷嚢を脇の下と足の間に挟ませた。

「水、飲むか?」

名前が頷き、身体を起こして水を飲ませる。

数十分後には顔色が元に戻り、自分で起き上がれるようになった。名前はバスタオルをきっちりと身体に巻きつけ、両手で顔を覆っている。

「恥ずかしすぎる……」
「別にそこまで気にすることじゃないだろ。名前の身体は見慣れてる」
「うー……」

また名前の顔が赤くなった。忙しいやつだ。

「このままにしておくと今度は風邪をひくぞ。また僕に世話されたいならそのままでいればいい」

そう言うとすぐに濡れた髪の毛を拭きはじめた。

bkm