私は典明の膝の上に向かい合って座っていた。というより座らされていた。
「ねぇ、降りたいんだけど」
「なんでだい?」
何でって、恥ずかしいからに決まっているじゃあないか。私の目の前には典明、後ろにはハイエロファントグリーンがいる。
「ずっと前から思ってたんだが、」
典明は笑いながら言う。なんか嫌な予感がする。離れようと典明の胸を押すが腰に両腕を回され、距離がぐっと近くなる。
「名前は耳が弱いのかい?」
「言っている意味がわからない」
「……こういうことだよ」
顔が近づいたと思うと、耳にぬるりとした感触が走る。典明の唇が私の耳を食んでいた。
「の、のりあき、っん、だめ」
私が制止する言葉を無視し、行為は続く。咥内の暖かさ、舐める音、呼吸するたびに吹きかかる息が私の体温を上昇させる。脈がどんどん早くなるのを感じ、典明に伝わっているのではという恥ずかしさがますます私の脈を早くさせた。
「脈、早いね」
一旦私の耳から離し耳元で囁く。心地好い声に身体が内側から粟立つ。再び耳を口に含み、形に沿って舌を這わせる。
「っもう、いいから、っあ」
そう言っても止める気配がない。気持ち良すぎるせいで声まで漏れる。私は思わず典明の服に顔を埋めて漏れる声を抑えていた。
「んっ、んっ、」
しばらくしてようやく飽きたのか耳から口を離した。その頃には抵抗する気力もなくなり、典明に凭れかかっていた。