「あ、野菜がない」
今日は私が夕食を作る当番だ。冷蔵庫を開けると野菜がなかった。
「ちょっと買い物行ってきます!」
「名前、どこに行くのだ」
「あ、DIOさん。野菜がないのでスーパーに行ってきます」
「私も行こう」
ありがたい。帰りに荷物を持ってもらおう。
「じゃあ一緒にいきましょう」
***
スーパーに行くとDIOさんはもの珍しげに店内を見回している。
「DIOさんはスーパー初めてですか」
「そうだ。……これは何だ?」
「カートですよ。これに買うものを入れるんです」
「かごに入れればよいのではないか」
「重いと腕が疲れますから」
「やはり人間は貧弱だな」
さすが吸血鬼。
「DIOさんにカートをお願いしてもいいですか?」
「お前は貧弱だからな。私が代わりにやってやろう」
「じゃあこっちに……って何をしているんですか?!」
DIOさんはカートに片足を乗せたかと思うと勢いよく店内をカートで走った。お客さんが不審者を見るような目付きだ。他人の振りをしようと心に決めた。
「名前、これはなかなか楽しいではないか」
「……」
「名前、なぜ返事をしないのだ?聞こえているだろう」
このあと店員に滅茶苦茶怒られた。