覗く(露伴)

名前はソファーでぐっすり眠っている。人の家でよくこんなに眠れるものだ。せっかく早く仕事が終わったのに、これじゃあ意味がない。

彼女は僕のことをどう思っているのか普段から気になっていた。名前が無防備に寝ているのが悪いのだ。好奇心を抑えられなくなり、自分を正当化しながら名前にスタンドを使った。

名前のページをぱらぱらと捲る。家族構成、好きな食べ物、小学生の頃の思い出などが綴られている。しかし、一番知りたいのはこれじゃあない。
ページを捲ると、ある場所で僕の手が止まった。

【警告】露伴先生は閲覧禁止、と書かれている。名指しされたらますます気になるじゃあないか。僕は迷わずそのページを捲った。

露伴先生が好き。露伴先生は素直じゃないところがある。この前私が誕生日だったときにネックレスをくれた。露伴先生はたまたま私の欲しいものと一致しただけだ、と言っていたけど康一くんから聞いたたころによるとスタンドを使ったらしい。直接聞いてくれればいいのにこっそり私の欲しいものを調べて買っているところが、可愛いなと思う。

知っていたのか。しかも僕が可愛いだと?納得がいかない。もっと読んであとでからかってやる。

露伴先生の家に泊まった。露伴先生の寝顔を見ているときに、先生が寝ながら私の名前を呼んでいた。

僕は頬が熱くなるのを感じた。嘘だろ?

前に露伴先生がお酒を飲んでいた時に酔っ払って私に告白してきた。本当に露伴先生は可愛い。

僕はそれ以上読むのを止めた。名前をからかうつもりが僕の方が恥ずかしい気持ちになってきた。……まあ、名前が僕のことを好きなのは初めからわかっていたさ。でも可愛いってなんだよ。

スタンドをしまっても無防備に眠っている名前に少しむかつき、鼻を摘まむ。

「!ん〜〜〜!」
「ようやく起きたか、このねぼすけ」
「あ、露伴先生!仕事終わったんですか?」
「ああ、今日は出掛けるぞ」
「やった!……先生、顔赤いですけど具合悪いんですか?」
「名前のせいだ、ばか」
「えっ」

bkm