隠れる(DIO・ヴァニラ)

「名前、DIO様の寝室の掃除は終わったのか?」
「あ……」
「忘れていたのか」
「すみません」
「お前には罰を与えないとな」

ヴァニラが私を捕まえようと手を伸ばす。逃げなきゃ。私はがむしゃらに走った。

「名前、走るな!DIO様が寝ている時間だぞ!」

ヴァニラは歩いて私を追っている。逃げ切れる、そう思ったがこの方向はDIO様の棺桶がある部屋だ。まずい、行き止まりだ。
名前、とヴァニラが私の名前を呼ぶ声が遠くから聞こえる。

私はDIO様の棺桶に潜り込むことにした。ここならヴァニラは開けないはずだ。できるだけDIO様を起こさないように手足をDIO様の身体の両脇について棺桶に入り、息を潜める。

「ん、名前か?」

DIO様が起きた。まずい。

「なんだ、ようやく吸血される決心がついたのか?」
「ちが」
「そうか、ならば望み通りにしてやろう」
「だめー!!」

私はDIO様から離れようと身体を起こす。すると背中が棺桶の蓋を押し上げ、蓋が落ちる。

「あ、」
「名前、こんなところに隠れていたのか。DIO様の眠りの邪魔をするとはもっと罰を与えなければな」
「ヴァニラ、名前がどうかしたのか?」
「DIO様の寝室の掃除を名前が忘れたので探しておりました」
「そうか……ならばわたしもヴァニラに協力しようではないか」
「えっ」
「案ずることはない。ふたりで可愛がってやる」
「えっ」
「ほら、名前行くぞ」

私は掃除とは別の理由でDIO様の寝室に行くことになった。

bkm