思い出

今日は仕事がないので家の掃除をしよう。アヴドゥルさんが仕事に行くのを見送り、私は掃除に取りかかった。

アヴドゥルさんの家は広い。箒で掃いて水拭きしているとあっという間に午前中が過ぎてしまった。

残りはアヴドゥルさんの部屋だ。部屋に入ると本棚が壁じゅうに並べられている。すごい本の数だ。アヴドゥルさんが博識なのも納得する。窓際には机が置いてあり、筆記用具や本が数冊乗っている。

その他に写真立てが2つ伏せられた状態のまま置かれていた。風で倒れたのかもしれない。写真を立てると私は驚いた。
ひとつは私たちが3年前にみんなで撮った写真だった。私も同じ写真を持っていて、元の世界の机の上に飾っている。もうひとつは3年前の私の写真だ。そういえばこんな写真も撮ったなあ。アヴドゥルさんが持っていてくれたことに嬉しくなった。

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「お帰りなさい!」
「ただいま、機嫌がいいな。何かあったのか?」
「ふふ、何でもないです」

bkm