想う(露伴)

名前はお腹の痛みをこらえながら露伴の家に向かっていた。

数分間、名前は同じ高校の先輩に絡まれた。どうやら仗助の友達ということで目をつけられたらしい。名前はスタンド使いであるため、多人数でも負けない自信はあった。実際に勝った。だが背後をとられた際に前からも拳が飛んできて腹部に衝撃を受けた。

露伴に夕飯を作る予定があったため家に立ち寄るが鍵がしまっている。あらかじめ持っていた鍵で開け中に入る。居間に行くと書き置きが残されていた。

出掛けて来る。7時には帰る。

短い文章がなんとも露伴らしい。時計を見ると露伴が帰って来るまでに2時間程ある。疲れていた名前は1時間程寝ることにした。その頃にはこの腹の痛みが治まっていることを期待しながら瞼を閉じた。

7時に露伴が帰宅した。居間に入ると名前がソファーに寝ているのが見える。顔を覗き込むと額に汗を浮かべ、苦しそうな表情である。額に触れると名前の体温がいつもより高いことに気づく。

風邪だろうか、だが名前は風邪で熱を出したことがあまりなかったため引っ掛かる。スタンドを使った方が早い、そう思った露伴はヘヴンズ・ドアーで何が原因か確かめることにした。


同じ高校の先輩に話しかけられた。
どうやら仗助にお世話になったらしい。
先輩が襲って来た。
腹部を殴られた。


そこまで読み、露伴は何があったかを全て察した。直ぐに「痛みが消える。熱が下がる」と書き込む。すると間もなく玲の苦しそうな表情が和らいだ。次に名前の制服を捲る。案の定青くなった痣に露伴の表情が曇る。台所で冷やしたタオルを腹の上に乗せる。

「っ、冷た」

名前は目を覚ました。

「……露伴?っあ、夕飯まだでした。これから作りますね」
「僕が作るから君は休んでいろ。殴られたんだろ」
「見たんですね……」
「仕方ないだろ、今夕飯作るから」
「ありがとうございます」

名前の腹の痛みはもうすっかり消えていた。きっと露伴がスタンドを使ってくれたのだろう、そう思い不器用な優しさに心が暖かくなるのを感じた。





bkm