俺たちの夏が終わった。
最後の試合を千歳に譲って後悔はしてないが、やはり勝ってほしかった。夢を続けたかった。

そして全国大会を終えた俺たちは部活を引退した。今は時々顔を見せに行って、受験勉強の息抜きをしたり、後輩たちの指導をしに行ってるだけだ。
白石は前部長なだけあって、俺よりも顔を見せに行ってるようだ。
何も知らず遊びにいったとき未だジャージでいる白石には驚いたものだ。
俺や白石以外のメンバーも時々顔を見せに出てるようで結局俺たちは後輩と、テニスが好きなんだと改めて思った。
…千歳を除いてだが。
千歳は部活を引退してから一度も来ていないらしい。
そもそも学校に来ているのかさえわからない。

クラスが違うので絶対とは言えないのだが、今はほぼ学校に来ていないようだ。会いに行っても休みと言われ、廊下ですれ違うこともなく、屋上で一緒にお昼を食べることもなくなった。
いい加減学校に来いと連絡しようにも千歳は携帯を持っているときのが少ないので、連絡手段が直接家に行くしか無いのだ。

そんな千歳が本当に久々に学校に来たと噂が俺のクラスまで来た。
俺が最後に千歳を見たのは一ヶ月ほど前だ。軽く挨拶を交わして別れた以来会った記憶はない。三時間目の終わりにその話を聞いて居ても立ってもいられなくなり、残り二分程しか無い休憩時間を使って隣のクラスへ駆け込む。
千歳の席へと目を当てればそこに千歳の姿はない。

「はあ…」
「んん?謙也やん。もう授業始まるで?」
「わかっとるわ…なあ、千歳は?今日来てへんの?」
「千歳?HRには居ったで」

思わず出てしまった溜め息に近くにいた知り合いが反応して声をかけてくれる。千歳のことを聞けばHRには居たと教えてくれた。軽くお礼を言って教室へ戻る。

教室には既に教師が来ていて大人しく席に座り再度溜め息を吐き出す。それと同時に授業開始のチャイムが鳴り響いた。
千歳のことばかり考えてしまって、授業が頭に入ってこない。
千歳は元気だろうか、ちゃんと生活出来てるだろうか、




負けて自分の存在意義に疑問を持ちとりあえずテニスをしなかったせいで爪の伸びた千歳と、そんな千歳に好きの気持ち、全国大会の気持ち、千歳がいなかった間の想い、全部を告白するシリアスな謙ちとになる予定だったけど無理でした。爪が伸びたが重要だったのに辿り着けてないってゆー

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