千歳は怪我が多い。部活で怪我をしているのは見たことが無いから多分家で怪我してるんだと思う。
今昨日まで何もなかった所に青あざが出来ているのが見えた。
心配させない様になのか、気付かれたくないのかこそこそと影に隠れて着替えている。
ずっと見ていたことによってウチの視線に気付いたのか、顔を上げて此方を訝し気に見つめてくる千歳。
笑ってやれば、気付かれてないと思ったのか安心した様な表情を見せた後、「どげんしたと?」と問いかけて来た。
「んー…やー千歳のブラかわええなあと思ってなあ」
何と答えようか悩んだが当たり障り無い答えにすることにした。
「ありがとう。ユウちゃんに選んでもらったと」
「流石ユウやなーセンスあるわ」
その話を振ったのが良かったのか、先に更衣室を出ていった友人の話をしながら笑い合う。話に盛り上がりすぎて気付けば、更衣室は二人きりになっていた。
慌てて着替えれば、その様子が面白かったのか千歳が口元に手を当てくすくすと笑っている。
その時、肘にガーゼが付いているのに気付いた。これも昨日は無かった。だから今日はジャージをきちんと着ようとしてるんだ。
千歳の腕を掴んで無理矢理傷口を見る。ガーゼを外せば、皮膚が剥けて赤黒く変色していた。そしてその傷の近くにはタバコを押し付けた跡が痛々しく残っていた。
「なあ、千歳」
「…なんね?」
「こないになってまで、アイツがええんか?」
掴んでいた腕が強張った。
百合が書きたかったけど書ききれなかったです。
0703