千歳と付き合いはじめて三週間が経った。 先週は手を繋いですぐにキスをされた。 本当は俺からしてあげたかったの彼女にやらせるなんて不甲斐無いばかりだ。 あれから、真っ赤な俺に「ごちそうさま。また明日ね」と千歳は言って帰ってしまった。 俺はと言うと、その場にしゃがみ込んで顔の熱が冷めるのと、何をされたか理解するのに必死だった。 きちんと動けるようになって、ようやく自分がいつも千歳と分かれる交差点にいることに気づいた。 車通りと人通りは多くないが交差点でしゃがみ込むなど迷惑なことをしてしまったと落ち込んだが、如何せん千歳とキスをしたという事実のが勝ってしまいその日一日は浮かれて過ごした。 俺は千歳が好きだ。好きすぎて手が出せず、親友たちにからかわれる毎日だ。 親友たちの前だとどれだけ好きかを伝えられるのだが本人を前にすると何も言えなくなってしまう。 絶対にやる!と決めたこともいざ二人きりになると何も出来ず、千歳の方がどうしてほしいか気付いてくれて、リードしてくれる。 今だって、初めて自分から手を繋ぎたいと言えたばかりだ。 微笑みながら千歳は手を繋いでくれた。千歳の横顔を見ながら帰れるなどこの上無く幸せだ。俺の話に楽しそうに頷いてくれる千歳を見て俺も自然と笑顔になる。 俺の視線に気付いたのか、こちらを向いて微笑んでくれる千歳。 「やっぱ謙也はむぞらしかね。俺が謙也のこと守るけん安心しなっせ」 「…おう」 無駄に男前な顔に微笑まれながらそんなカッコいいこと言われたら頷く他ないと思った帰り道。 違和感に気付いたのは分かれた後でした。 ( あれ、それって俺の台詞? ) |