謙也はへたれだ。腐れ縁の俺が言うのだから間違いない。
好きな子が出来て告白出来ずに別の子に取られる姿を何度か目撃している。
そんな謙也に彼女(?)が出来て一週間が経った。そろそろ手の一つでも繋いだかと問えば俯きながら首を左右に振られた。


「…一週間あれば、相手が千歳でも俺やったらキスできてるで」
「そりゃー白石やからっちゅー話や…」

俺の意見を言えばガクリと頭を項垂れさせて大きなため息を吐く謙也。「俺かて白石みたくイケメンやったら今頃…!」などと呟いているが、顔が良くても中身が謙也のままなら何も変わらないだろうとツッコミたかったが、これ以上相手するのも面倒なので知らないふりをすることにした。

「んー、せやったら偶然装って手え繋げばええんやないの?ついでにキスしてまえばええやん」
「あああああかん!!」ガシッと突然腕を捕まれてブンブンっと首を振られた。

「あかんって…!千歳と手なんて繋いだら俺どうなるかわからん!」

せやからへたれって言われるんやろ!とは謙也が余りにも必死だったので言えなかった。


( 最早乾いた笑いしか出ません )