今日の晩御飯担当は謙也さんと、千歳さんのお二人です。
白石さん曰くお二人は料理上手と聞いたので、私に出来ることは少ないでしょうが一応お手伝いに来てみました。
炊事場にはお二人の他に、白石さんと、遠山くんもいてやっぱりお手伝いの必要はなかったみたいです。


「小日向さん。そんなとこでなにしとるん?」

こっそり戻ろうとしたら、目敏く白石さんに見つかり「こっち来ればええやん」と、手を引かれました。


「おお!ねーちゃんも来たんかー!謙也と千歳の料理美味いからメッチャ楽しみにしといたらええで!」
「ちょ、金ちゃんそれは謙也の台詞やろ」


呆れ顔で遠山くんの頭を撫でている白石さん。
その様子が親子みたいで、笑っていると二人に不思議そうな顔をされた。

「ふふ、二人とも親子みたいですね」
「え〜!?ワイ、白石みたいなオトンいややわ〜!」
「俺やって金ちゃんみたいなゴンタクレのオトンなんていややわ。…俺らが親子ならあそこは夫婦やろ」


ほらっと指差された先には、お料理中の千歳さんと謙也さん。二人には私たちの会話が聞こえていないみたいで、此方を向く気配は無い。
何が夫婦なのか分からず、頭に疑問符を浮かべていると「聞き耳立てみ?」と、小さな声で言われた。


「あ、それ危ないばい」
「お?すまんなーちゅーか千歳あれ取ってや」
「ん、どうぞ。謙也くんそれほしいばい」
「ほい。あ、あれ入れるの忘れたわ!」
「はい、これでよか?」
「流石千歳やわ!それほしかったんや!その前にあっちやらんといけんなあ」
「そっちなら終わらせといたけん心配なかよ」


言われた通り静かに聞き耳を立ててみれば、二人の会話が聞こえた。
…正直何を言っているのか全然わからなかった。主語がないではないか。会話に出てきたものと言えば、あれと、これと、それと、あっちと、こっちだ。これだけでお互い何をしてほしいか、何がほしいのか分かるなんて凄いと思う。
そっと戻って白石さんの方を向けば「な?」と笑顔で言われた。


「主語がないのにわかるってすごいですね…」
「部活中もあんな感じやで」


呆れ顔を浮かべながら遠山くんの相手をしている白石さん。きっと部活中も部員のみんなに手を焼いてるんだろうな。


「よっしゃ!完成したで」
「おおお!!待っとったでー!飯やー!!!」
「金ちゃんちょっと落ち着きなっせ。そげん急がなくてもご飯は逃げんばい」


謙也さんの言葉を聞いて、今まで白石さんに相手してもらってた遠山くんの耳がピクリと動く。
そして、謙也さんへ飛び付かんばかりに勢いよく駆け寄る。
千歳さんがさりげなく謙也さんの前に出て、遠山くんから庇っている。
あのまま遠山くんが行けばきっと謙也さんにぶつかってしまうから、ぶつからないよう千歳さんが遠山くんの相手してる。謙也さんも別段気にしてないみたいだから、きっといつものことなんだろう。
会話もそうだったけど、付き合ってるだけあってお互いの行動がわかるんだな、と改めて感心してしまいました。


「小日向?はよ食べんと金ちゃんに全部食われてまうでー」
「あ、はい、いただきます!」
「急がなくともまだあるけんゆっくり食べなっせ」

二人に微笑まれ、はいっと元気よく返事を返し、手を合わせる。


( いただきます )



コネタの筈だったのにいつもと変わらなくなっちゃいました。謙ちと全然喋ってない…!書き方が安定してなくてすみません。
0809