ミーティングが終わって、広場へお手伝いに来た。

「あ、謙也さん何かお手伝いありますか?」
「お、小日向やん。今から水汲み行くんやけど手伝ってもらってもええ?」
「はい」

謙也さんとポリタンクを持って湧水まで歩いていく。広場と比べると木々が生い茂って涼しい。
いくつか話題を出して、謙也さんと会話を楽しみながら歩いていたが一瞬だけ、会話が途切れる。
何か聞いてはいけないことを尋ねてしまっただろうか?
どうしようか悩んでいると「そいえば最近千歳と仲エエなあ」と言われた。

「そうですね。色々お話させてもらってます」
「色々ってなんやねん!…は!…ま、まさか、千歳、あのときのこととか言うてへんよな…!」



千歳ー!と叫びながらしゃがみ込み、その後うーと唸っている謙也さんの一挙一動が面白くて、クスクス笑っていると、私の笑いに気付いたのか「ナイショやで?」と照れくさそうに言われた。


「ふふ、ナイショも何も謙也さんのお話はテニスボール踏んづけて後頭部打ったってお話ぐらいしか聞いてないですよ」
「…それだけでもメッチャハズイやん…」


がくんと項垂れて、顔を隠している謙也さん。
言っちゃいけないことだったのか…?

「あーハズイわ!ちゅーかあれやで!千歳やって、よく頭ぶつけてるんやで」


顔を真っ赤にしながら急に立ち上がる謙也さん。仕返しとばかりに楽しそうに千歳さんのお話をし出す。

その内容と言えば、背が高いからよく頭を打ってるとか、電化製品が苦手で携帯すらまともに使えないとか、蜘蛛が苦手で一人じゃ退治出来ないとか、よく千歳さんを見ていないと気付かないような内容ばかりで思わず笑いが込み上げてくる。
謙也さんも千歳さんのお話をするときは凄く楽しそうに笑っている。

「そんでな、千歳には放浪癖があってないつも迎えに行くのは俺の役目やねん。ええ加減迎えいかんでも真面目に部活来い!っちゅー話やない?」
「そうですね。…それにしても謙也さんは千歳さんのことよく見てますね。私、そんな細かいところまで気付きませんでした」


思ったことを伝えれば、あーとか、んーとか歯切れの悪い返事と共に視線を反らされてしまい、また何か言ってしまったのかとドキドキしていると、一度深呼吸をしてから、あんな、と切り出された。

「小日向やから言うけど、…俺と千歳付き合ってんねん」


え、と声に出そうになったが照れくさそうに、だけど幸せそうに笑う謙也さんがいて声に出すのをやめた。


「すまんなぁ、急にこんな話して」
「いえ、それは大丈夫ですけど本当に千歳さんとお付き合いしてるんですか?」
「おう、ホンマやで。俺がコクったん」
「え、ええ!?」


今度は声を抑えられず大きな声で驚いてしまう。少ししか一緒にいないが、謙也さんと言えば大事なところで後一歩がなかなか踏み出せないタイプの人だと思っていたから、謙也さんから告白した事実に仰天してしまった。
その事を言った本人はといえば、何も知らぬ顔で、「そいえば千歳どこいったんやろなー」と言っている。


「あ、の、失礼かもしれませんが千歳さんのどこが好きなんですか?」


恐る恐る尋ねてみれば、少し考えた後、凄く良い笑顔で「全部好き」と言われた。
たったそれだけのことだったけど、この人は凄く千歳さんの事が好きなんだなと思いました。


( …それにしても二日目からビックリしました )



久々ですみません。謙也くんと女の子でした。千歳のことが好きな謙也くんの暴露話です。帰りはお水持って謙也ののろけ話聞く女の子です。
楽しかった!
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